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私は何を知っているか?

Mark/まあく タイトルはミシェル・ド・モンテーニュ(1533~1592)の言葉 「Que sais-je?(私は何を知っているか?)」

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「リニア・鉄道館」はいかにもJR東海らしい作りの博物館だった(2)

鉄道 観光・地域研究

前回の続き。

シミュレーター

リニア・鉄道館には在来線列車の運転、車掌業務、N700系新幹線の運転の3種類のシミュレーターがある。入場時に受け取った抽選券(それぞれ1枚ずつ)を抽選箱に入れ、当選したら料金を支払い、指定された時間に体験できる。それぞれ1日4回抽選がある。在来線の運転は313系と211系が4台ずつあるが、N700系は1台しかなく一人15分なので一日30人くらいしかプレイすることができない。混雑日に当選するには運が必要だ。



313系シミュレータ。速度計や圧力計、時計は液晶での再現。

セルフ車掌の夢が叶う。

313系の運転を体験してみた。モード(難易度)は3段階、中間を選択。天気や時間帯を選ぶとアテンダントのお姉さんが「この時刻表です」とめくってくれた。のぞみ駅、しなの駅など架空の路線が登場するが、選択によって駅パターンが変わるらしい。運転シミュレータは昔よくやったので操作自体は慣れたものだが、慣れない環境に緊張して細部をよく覚えていない。運転席にかぶりついたことがある人にはおなじみだが基本的な流れは、戸閉め、ブザーを確認し、マスコンで加速、惰行し、ブレーキで止まる。速度制限の予告が画面に出たが、線路脇に標識が植わっていなかったような気がする。綺麗なブレーキングではなかったが、車両の性能がいいのでなんとか止めることができた。午前中にやったこの段階では本日1位の成績だったらしくちょっとうれしい。景色を見ている余裕などないくらいだったので、楽しめたとは言えず緊張しやすい性格が悔やまれる。ATS-PTの作動灯も再現されているので、信号の現時変化やATSの作動も再現して欲しいがどうなのだろうか。大宮の鉄道博物館にある音楽館制作のシミュレーターの再現度には及ばないように思った。



続いて新幹線の運転にも挑戦。N700系のコクピットはその形状から従来の車両に比べると狭いように感じる。これにも日本車輌と三菱系のメーカーの銘板がついているので実物に近い再現がされているのではないかと期待させる。しかし右側にマスコンというのはどうも感覚が狂う。ここはアテンダントのお姉さんがずっと一人ついていて教えてくれるのだが、反対ですと言われてしまった。画面のATC信号270を確認し加速を開始。右側のモニターにはリアルタイムで運転曲線が描画される。常に270にあたるくらいの速度を維持していないとすぐ遅延してしまう。途中しずおか駅の通過は15秒くらいの遅延。30秒の遅延で運転打ち切りになると教えてもらった。新幹線の操作は単純だがさすがにシビアなダイヤだ。お手本をトレースするような滑らかなハンドル捌きが要求される。ノッチを固定していても下り勾配に入ると上がってしまう。時間や距離が常に刻まれているモニターにも勾配は表示されないようだ。およそ15キロを運転しなごや駅に接近。デジタルATCによるブレーキで自動減速を始める。駅に入線し30キロまで到達すると確認ボタンを押し、以後は手動ブレーキ。2mくらい過ぎたかなぁ。今度の評価は合格に至らず。信号270にあてたのも減点されていたようだ。やはり精神的に慣れないと余裕がない。運転席からの視界は色ガラスを通すのでかなり暗くなっていることも印象に残っている。


車掌シミュレータは今回体験できなかったが、見たところ東京メトロJR東日本の乗務員訓練施設にあるシミュレータにかなり近いもののような気がする。

ジオラマ

現在日本で最大となるHOゲージジオラマで、同社が運行する東京〜大阪の風景が再現されている。東京のスカイツリーやお台場から始まり静岡、名古屋、京都の名所、伊勢神宮や遊園地、名古屋港のロックフェス等、鉄道以外にも手の込んだ趣向が凝らされており見どころは多い。新幹線、都市路線、山岳線などにそれぞれ列車が自動運転で走り、鉄道運行の一日をストーリー仕立てで見せる。日が暮れ夜になると、夜行列車や保守車両が出てきて保線・検修作業を行うという細部へのこだわりが感じられる。

ジオラマが大きすぎて一度の実演で全ての情景を見ることができないが、どこで何が起こっているのかが把握しにくいのは展示に改善の余地があると思う。見どころをナレーションや映像を駆使してもっと動的に紹介するべきだろう。今の展示方法で混雑していれば観客は自分が近づいた場所のごく狭い範囲の部分しか見られず他に気付くこともなく終わってしまう。海底に浦島太郎がいる等の隠しキャラクターも配置されているのだが事前に知ってきた人以外わからないだろう。




軽食・屋外展示

デリカステーションでは購入した駅弁や軽食を食べられる。屋外展示の117系車両の座席に座って駅弁を食べることも可能。


資料展示

他にも超電導リニアの展示や体験学習室、歴史、資料展示があるが車両展示の充実度に比べるとやや貧弱。キッズコーナーではプラレールで遊べる。

ミュージアムショップ

出口を出るとグッズショップがある。ステーショナリー等の鉄道グッズやお菓子がたくさんある。見るだけでも結構たくさんあるので閉館間際に時間が無くなったりしないよう、出口で再入場を申し出て先に見ておくのも手だ。購入したものはロッカーに預けておくと良い。




閉館時刻にはあたりはもう真っ暗。建物の入り口付近だけがガラス越しに明るく光が漏れ、駅のプラットフォームの様に見えた。


まとめと感想

さて展示や施設の運営形態を見てきたが、その構造を見るに簡素で展示スペースにも無駄がなく、実利第一、まさに東海道新幹線JR東海を体現した施設だと言えるだろう。

建物の設計段階の話になるが、少し工夫すれば目の前を通っているあおなみ線の列車を眺められるデッキを設けられたのにと思う。あおなみ線はJRとは別会社とはいえ、JR東海が約10%出資、乗務員の雇用や訓練、車両の検査等で関連性の高い企業だ。鉄道博物館のコンテンツの一つになり、歩み寄りがあっても良かったのではないかと思うし、観光施設として捉えれば名港トリトン(高速道路橋)や港の景観を眺められるような展望デッキも作っておいてくれればと思った。

大宮にあるJR東日本鉄道博物館は名実共に日本最大で比較するのは酷かもしれないが、向こうは公益財団法人による運営で学芸部等もきちんとある。リニア・鉄道館は展示は立派だが博物館としての機能はやや貧弱だ。ライブラリ機能もなく、アテンダントは多くいるが専門的知識を持った人が所属しているのかはわからないし、そのような窓口は見当たらなかった。博物館といってもJR東海の広報施設くらいの位置づけなのだろう。公式サイトもJR東海のサイト内で、電話番号に至ってはJR東海のテレフォンセンターを案内している。

と幾分の物足りなさがあって厳しく書いてきたが、鉄道車両のかっこよさをうまく演出する展示、デザイン的に美しい表示等は満足でき、子供から大人まで全体的に楽しめる施設になっていることは高い評価に据え置いていいだろう。昔乗った懐かしの車両と再会したり、木製の内装や機関車の重厚さを感じたり、本物の車両が持つ味わいからは代え難いものを得られる。鉄道好きの子供と行けば楽しめることは間違いない。