私は何を知っているか?

Mark/まあく タイトルはミシェル・ド・モンテーニュ(1533~1592)の言葉 「Que sais-je?(私は何を知っているか?)」

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「リニア・鉄道館」はいかにもJR東海らしい作りの博物館だった(1)

今年春オープンしたJR東海の鉄道博物館「リニア・鉄道館」。開館以来親子連れ等で賑わっているようだが、冬休みに入り混み合う前にと先日開館から閉館までじっくり時間をかけて見学してきた。400枚弱撮影した写真の中から抜粋し見どころを紹介しながら、展示方法や博物館の運営を観察し見えてきたことを記しておきたい。

各線名古屋駅から、あおなみ線で終点金城ふ頭まで。駅を降りるとすぐに見える博物館の建物は、シルバーグレイを基調に斜めに切り掛かれた直線的で無駄な装飾のないシンプルなデザイン。JRのシンボルマークがなければ港湾地区の倉庫のようにも見える。建物に入り、券売機で大人1000円の入場券を買い、入り口でチェックを受ける時にパンフレットを受け取る。パンフレットの中に、詳しくは後述するが、シミュレーターの抽選券が入っている。



シンボル展示

まず最初に暗がりを通り、浮かび上がってくるのは3本のシンボリックな鉄道車両。手前からC62形蒸気機関車、955形式新幹線試験電車(通称300X)、超電導リニア車両MLX-01-1。いずれもがそれぞれの駆動モードで当時の世界最高速度を記録した車両である。

これを見ても、この博物館が鉄道の中でも特に、高速鉄道の歴史に主眼をおいて構成しているということがわかる。ピカピカに磨き上げられて一堂に会したこの車両たちも、ここに来る前には、C62は東山動植物園、300XはJR東海浜松工場、リニアは山梨の実験線で走ったあと2005年の愛知万博で展示とそれぞれの歴史を背負っている。黒を背景に真っ黒なSLと真っ白を基本にした新幹線のカラーは、写真にうまく撮るのが難しくもある。



車両展示

さらに先へ進むと、吹き抜けに多数の新幹線・在来線車両が並べられた広いスペースに出る。一面の黒い床に抑えめのスポットライトが当てられた車両が壮観だ。奥の方に押し込まれた車両を除き、約半数はプラットフォーム型のブリッジを渡り、車両の内部にも入ることができる。基本的に国鉄時代からJR東海管内で活躍してきた車両たちだ。左側には解説展示、右の壁側にはジオラマコーナー等がある。車両が並び奥の方までは見渡せないがほぼ全ての展示スペースがここから隣り合った場所にある。




東海道新幹線の開業から活躍し親しみ深い顔で新幹線の代名詞的存在として知られた初代0系。
0系21形車内。
客用扉の内側に博物館の検査済みの印があった。通常、検査実施工場の名前が入ると思うが搬入時に検査を行ったようだ。
初期の0系には車両中程に非常口があった。
運転室扉にMOTORMANの表記。
博多開業を機に登場した0系36形食堂車。
100系168形2階建て食堂車。

300系先行試作車(手前)と量産車(奥)は前面裾部の膨らみや車内の仕様が一部異なる。
営業中には見られない車体妻部もじっくり観察できる。
ドクターイエローの通称でファンには有名な922形新幹線電気軌道総合試験車。
381系特急電車。
当時の流行様式、京阪神モダニズムのデザインで1937に誕生した流線型のモハ52形。




鉄道のしくみ展示

鉄道がどうやって運行されているかや、安全を支える仕組みを解説している。ここでも東海道新幹線の紹介を全面的に押し出した展示内容になっている。券売機で紙の乗車券を印字して改札機を通す体験展示等もあるが機械の仕組み等を掘り下げているわけではないので解説に物足りなさを感じる。






展示解説について

新しい博物館だけあって展示解説の方法は、映像を用いたり表記にはアイコンを使用する等見やすい手法が使われていて予備知識のない人にも、よく知った人にも要点を掴みやすいインターフェイスになっていると感じた。2〜3分の車両紹介の映像にはタイムシーケンスのナビゲーションがついていて現在動画のどの部分を再生しているかが一目で分かるのでどれくらい続くのかでイライラすることがない。これは個人的にあらゆる展示施設の映像解説につけて欲しいと思っている。車両の解説には運転最高速度が目立つように書かれていてこの部分へのこだわりを感じる。視覚障害者向けの簡潔な点字解説と車体の形状がわかる触地図方式の案内板、8言語対応音声ガイドも用意されている。




後半では運転シミュレーター等を紹介する。

鉄ものがたり~読むリニア・鉄道館
読売新聞中部社会部
読売新聞中部支社 ( 2011-03-14 )
ISBN: 9784990575106