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私は何を知っているか?

Mark/まあく タイトルはミシェル・ド・モンテーニュ(1533~1592)の言葉 「Que sais-je?(私は何を知っているか?)」

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アップルの修理対応について アップルは顧客のデータ漏洩に対して責任を負わない

モノ 法律

アップルの修理対応はとても優秀

MacBookのSDカードスロットが突然認識しなくなった。USBからメモリカードリーダをかませれば読み込めるのでどうしても困るというわけではないが、デジカメは頻繁に使うのでできれば直接読み込めた方がいい。

アップルケアの製品サポートに電話して、提案された方法もいくつか試してみたが、改善ならず。おそらく預かり修理になるだろうとのことで、本体のバックアップをとって出さないといけないので面倒だなと思い、忙しかったのでしばらく放置。

電話で提案された通り、今まで使っていなかったが、簡単にバックアップができるというTime Machineを使ってみることにした。新しく購入したHDDはこれ。機能的にも価格的にもデザイン的にも良い感じだったのであとでもう一つ追加で買った。

Time Machineでのバックアップ設定も極めて簡単にできたので、次はアップルのウェブサイトからapple storeの修理対応窓口であるGENIUS BARを予約した。翌日のお昼の予約がすぐに取れた。

約束の時間にアップルストアに行き、案内に立っていた人に名前を告げる。予約申し込みの段階では特に入力する箇所がなかったので伝えなかったのだが、この時に事前に電話で相談していることと、サポートから送られてきたメールにあったケース番号を告げると、iPadの画面に入力して引き継いでくれた。

ほどなくして呼ばれた。電話で既にいろいろ試していることなども引き継がれていて、ロジックボードの交換になるだろうということと、修理に出すと1週間くらいになるだろうということだった。修理に出してしばらく使えないのは痛いが、apple careの期間内で料金は無料だし、ついでにクリーンインストールもしてもらおうと決め、その場で同意書にサインをしてMacBookを引き渡した。

修理に出したMacBookは見積り通りロジックボードの交換になった。apple storeに水曜日に持ちこんで次の月曜日に戻ってきた。ついでにクリーンインストールをしてもらい購入時の状態になって戻ってきたが、Time Machineに繋いで数時間で元通り。何か面倒なことや注意点があるか聞いておいたら、一部のアプリケーションが戻らないかもしれないと言われていたが、特に以前と変わることもなく快適。



最初の電話での問い合わせから店舗での対応まで極めてスムースに引き継がれ、同じことを何度も説明することもなく、迅速丁寧に対応してもらえた。アップルの対応には非常に満足している。



で、ここでこの文章を締めることができたらいいのだが、ちょっと気になる点があった。それがこれ。

アップルは顧客のデータ漏洩に対して責任を負わない


修理の依頼を出すときの同意文にこの文言があって違和感はあったのだが、店舗に規約の内容を改める権限などないことは承知。そこで手を煩わせて修理に出すのが遅くなっても困るのでとりあえずその場ではサインして出しておいた。法的リスクマネジメントのために入れている一文であって、積極的に漏洩する意思があるわけではないことは理解できるが、顧客のデータの漏洩に対し責任を負わないと宣言しているのは、一般的な感覚から言っておかしいだろう。データ漏洩の防止に真剣に取り組むつもりがあり、万が一発生した時にも真摯に対応するつもりがあるのなら入れる必要のない一言だ。



さてMacBookも無事戻ってきたことだし、この件について改めてアップルのサポート電話に問い合わせてみた。


問い合わせたい内容は以下。

  • アップルがデータの漏洩に対して責任を負わない旨は、どういった目的で同意を求めているものか?
  • データ漏洩の防止に真摯に取り組むつもりがあるのならば、入れる必要のない一言であると思うが如何か?
  • アップルが修理について規定する唯一の条件であるとする「修理規定」には漏洩について言及がなく、同時交付される「サービス見積書」の中で漏洩について付け加えられているが、これは修理規定の内容と矛盾していないか?


録音データもあるので書き起こすこともできるが、時間がないので要所のみ。

私:製品の内容というかですね、アップルストアでの修理の際に出された同意書の内容についてお尋ねしたいのですが。
最初に電話窓口に出たAさん(以下A):はい、どういった内容でしょうか?
私:同意書にこのような記述がありますが。〜〜中略〜〜 データの漏洩に対して責任を持たないとは、どういったことなんでしょうか?
A:(通り一辺の説明)
私:ええ、それはわかるんですが、データの漏洩に対して責任を持たないというのはおかしくないですか?どういった主旨で書いているのでしょうか?消費者の権利を一方的に制限するもので、不当だと思うのですが。


A:私ではお答えできないので、お待ちいただいてよろしいですか?
私:はい。責任ある部署の方から回答いただきたいと思います。

A:修理の際の修理番号か何かお持ちですか?
私:ええ。ありますけど、今回この修理の内容についての問い合わせではないので必要ないと思いますけど。
A:かしこまりました。お待ちください。


通話開始から18分
サポートの窓口の責任者であるというBさん(以下B):カスタマーリレーションズのBと申します。
修理規約の内容についてのご意見ということで、私ども米国本社に日本のお客様からこのような意見があったということは報告させていただくのですが。
ただ何か明日明後日に、状況が変わるということではなくお約束はできないのですが。
貴重なご意見ということで承らせていただくということでよろしいですか?
私:ではいくつかお尋ねしたいのですが。今修理規定ということでおっしゃいまして、修理規定も拝見させていただいたのですが、こちらに消失、破損ということは書かれていますが、漏洩ということは書いてないんですね。それでジーニアスバーで一緒に渡されるサービス見積書という紙の文書の方に、消失、破損と、漏洩という一言が加えてあると思うのですが。このことは把握されていますか?
B:申し訳ありません。今シリアル番号等頂いていない状態でお電話いただいていますので、ちょっと何のことをお話されているのかがわからないのですが。ジーニアスへのご意見ということでしたら、リテールストアの方に直接ご連絡頂きましてご意見を頂きたいのですが。
私:えーと、今お話しているのはアップルストアで修理に出した際の修理規定の内容についてですね。
B:修理番号はおわかりになりますか?
私:今特定の製品についてお話をしているわけではないので必要ないと思うのですが、いかがですか?
B:申し訳ありません。私どもはそういったことを議論させていただく場ではなく、商品に対してサポートをさせていただく窓口となっていますので、まずシリアル番号もしくは修理番号をお知らせて頂く必要が、、そのことについてお話はさせて抱きますが、一般的にこうですよね、というお話をされても私は法的な知識を持っておりませんので
私:(苦笑)えーと、すみませんが、今法的な知識のない方がなんでお話しになっておられるのでしょうか?今その部分についてお伺いしたいので、
B:申し訳ありませんが修理規約については、書かれていることが全てでございます。こちらについてご意見があるということは私ども記録とらせていただいて本社の方に、、社内で情報共有させていてだきたいと思いますので
そういう細かい部分についてお話したいと言う場合は、私ども規約を作っている場所ではありませんので
私:ええ、そういう細かい部分についてお話ししたいのでかけてますので、細かいお話のできる部署に繋いでいただきたいのですけども
B:そういったお電話で対応させていただく窓口はアップルにはございません。
私:あー、はい。
B:修理であったり(強調)、製品の使用方法(強調)などにつきましては、今お電話いただいているところで引き続き対応させていただきますが、まだ何も情報いただいていないので(強調)、ご希望に添うようなサポートというのは
私:はいはい、えーとすみません。では今ここで修理の番号を伝えたら何か状況が変わりますか?
B:あ、そうですね。(うれしそう)修理の内容に関してのお問い合わせでしたら私の方でできる限りの
私:ええ。でも今お話している限り、僕は今特定の製品について、あるいは修理についてお尋ねしているわけではないので、ですよね?わかりますか?
B:えーと、あのそれはちょっとお客様の意図が分からないので、
私:えーと、まず意図を把握してくださいね。
B:議論をされたいということでしたら部署が違いますということで、、
私:えーと、僕は最初からこの内容についてお尋ねしたいということでかけているので、対応できる方に繋いでいただかないと意味がないのですけども
B:申し訳ありません。先ほどの担当者でお断りすることができなかったために今、、、
私:あー(苦笑)。なんか今ものすごいクレーム案件みたいな感じで上がってるらしいことはよくわかったんですけども、僕はただ、あなたがたアップルストアが同意してくれって出してきてる文書の内容について、これはどういうことなんだとお尋ねしているわけですね。
B:そういった質問については、私どもウェブサイトでですね、内容をお預かりさせていただいてますので、メールで、、
私:わかりました。では文書でということですね。
B:残念ながら、ご意見としては今お話ししていただいた内容は記録とらせていただきますので、、、リテールでの、ジーニアスの対応、規約ということに関しましては
私:すみませんが、これリテールというのは、アップルストアで出されたものと今お話ししているところは、全然違う場所にお電話しているということになりますか?
B:さようでございます。私どもアフターサービスの窓口ということで、まず最初にシリアル番号、、
私:わかりました(苦笑)あのね、
B:必ず個人を特定できるものを頂かない限り、私どもとしては、、
私:わかりました。では今繋いでいただいている場所はそのような対応をする場所ではないということなので、ということですね?
B:そのようなというのは?
私:僕が聞きたいことに対して返答できる場所ではないということですね?
B:ええ、ご意見として承ることはできます。日本のお客様からこのような、、記録を取らせて、、
私:ええ、もちろん、意見を伝えて頂きたいのはもちろんなんですが、僕は返答が欲しくて電話をしているので、
B:返答ということでしたら申し訳ありません。こちらでは、、
私:ええ、そちらではないということは、よくわかったので。ではどこなんですか?ということで
B:メールでという、、
私:はい、では、メールということでしたらメールアドレスを
B:はい、アドレスというか私どもウェブから
私:はいはい、メールフォームからということですね?
B:そうなんです!
(以下略)

以上約50分間の通話からの一部。


そして、規約の内容について問い合わせるにはということでご紹介いただいたページがここ。

「製品のサポートに関して」「製品に関して」「ウェブサイトの問題に関して」からしか選べないようになっていて、「製品のサポートに関して」を選ぶと、「Apple製品のサポートが必要な場合は、サポートサイトにアクセスしてください。」が出ておしまい。ああ、これはもうそういうめんどくさい対応に応じるつもりはないとシャットアウトしているわけだ。



電話対応では、とにかくやたら製品番号を聞き出そうとしてきたのが印象的だった。というか名前と電話番号は伝えてあるので、顧客データベースからこちらの情報は引き出せていると思うのだが、とにかくうちは製品サポートなので製品の情報と紐づけないといけないという、自分たちの業務フローにそった対応がしたいんだということはわかった。なんでそんなにこだわるのか聞いてみたら、アップルケアの契約対象者以外からの問い合わせは有料での対応となっているので、どうもその確認がとりたかったようだ。保証期間外の顧客からに無償で対応してしまったら社内でペナルティがあるのだろうか?(苦笑)

こちらもある程度イレギュラーな質問をしているのですぐに返答できないだろうことはわかっているのだが、契約の当事者から契約の内容について聞かれたら答えるのが企業として当たり前の対応じゃないだろうか?どうも自分たちの権利を守る主張だけこっそり規約に盛り込ませておいて、そのことについて聞かれても担当者でないのでわからないとかわして、対外的に答える窓口は一切公開せず顧客対応のコストをとにかく下げたいということらしい。規約の妥当性を問うその前に、答えたくない質問には答えないという、非常に不誠実な対応であると言わざるを得ない。

アップルストア*1と電話サポートは別会社なのかと再度尋ねたら、会社というかラインが違います、と自信ありげにお答えになっていたが、ストアの直通番号にかけても音声ガイダンスで選択していくとここに繋がることもありますということなので、アップルの対外的な顧客対応の窓口と考えるのが自然じゃないか。


こちらはアップルとして返答して欲しいのであって、サポートの窓口だからそんなところにかけてくる方がおかしいとでも言うかのような態度は不愉快極まりない。適切な部署に繋ぐまでがあなたがたの仕事でしょう。自分が責任者であると言った女性に、あなたの対応に関してクレームが言いたいといったら、クレームを受け付ける窓口もないし、私より上のものが出てくることもないそうだ。このような質問に関しては最初の担当者でお断りするべきでした、私まで繋げた対応のミスでございます、とまで言ってのけた。あてつけかとでもいうような謝罪には閉口したが、対応についてのクレームを膨らましてどうこうしたいわけではないのと、とりあえず規約に関する質問は文書で出せということはわかったので切り上げた。とにかくアップルという会社はこういう対応をする会社だそうだ。非常に残念だ。

消費者団体に情報提供した内容

この件については、既に適格消費者団体である、あいち消費者被害防止ネットワーク*2に情報を提供し、現在対応を検討してもらっている段階だ。私は、この規定は消費者契約法の禁止する不当な契約条項に当たるのじゃないかと思うが、今後はこの返答結果と、この記事を公開した反響も考えて対応を考える。

あいち消費者被害防止ネットワーク 御中


iPhone, Macなどを製造、販売するアップルが製品修理受付時に交付する文書の内容について情報を提供致します。

アップルでは直営店舗apple storeにある、修理受付窓口[GENIUS BAR]において、製品の修理受付を行っています。この窓口において、顧客がアップルに対し修理を依頼する場合に同意を求められる文書の中に、以下の文言が含まれています。

      • -

私は、サービス中に発生するこの製品内のデータのいかなる消失、破損または漏洩に対しても、アップルが責任を負わないことに同意します。

私は、サービス中にこの製品のデータが消失、破損または損傷する危険性があることを理解しています。

上記に同意して見積を依頼します。

      • -

コンピュータ製品の修理作業の過程において、データの消失、破損が不可抗力で生じうることがありその同意を必要とすることは、十分に理解できます。しかし、データの漏洩は防止できることであり、修理作業中にアップル技術者の故意または過失により、顧客から預かった製品から、顧客の個人情報や機密データが漏洩するような事態が発生した場合には、当然アップルが損害賠償責任を負ってしかるべきではないかと考えます。またこのような規定があることは、アップルで作業に従事する従業員のデータ漏洩に関して規範意識が低下することに繋がりかねないとの余念も生じます。顧客から預かった製品を適正に管理できるのであれば、このような漏洩についての免責は必要ないはずです。
このような免責条項を消費者に選択の余地なく同意を求めることは、消費者の権利を一方的に著しく制限する不当な条項であり無効ではないかと考えます。

付け加えると、修理依頼時に、同時に交付された修理規定の本文を見ると、6.において、データの損失、破壊について触れられているものの、漏洩に関しては言及がなく、修理規定とは別に交付される「サービス見積書」の中で、上記漏洩に関して同意を求められるという形式になっています。
また、規定10.においては以下の記述もあります。

      • -

10. 本条件は、Appleによるお客様の製品修理を規定する唯一の条件です。お客様がApple
に提出したいかなる注文条件を含む他の口頭または書面による条件は適用致しません。
いかなる者も本規定を変更する権限をAppleより与えられていません。

      • -

※こちらのリンク先に修理規定があります。
https://www.apple.com/jp/legal/terms/repair/



この件につき、私がアップルの電話サポート窓口に見解を質問したところ、「規定について返答できる窓口は設けていない。」とのことで、返答できる部署に繋いで欲しいと申し上げたところ「ウェブサイトフィードバックのページから送信するように」とのことでしたが、このページは「製品のサポート」又は、「ウェブサイトの問題」について送信するフォームが存在するのみで、この件につき顧客からの問い合わせには、事実上一切の返答できる部署が存在しない状況です。



この件につきまして、あいち消費者被害防止ネットワークにおかれましては、どのような意見をお持ちになりますか?
アップルに対しての是正申し入れ等の対応に発展する可能性はございますでしょうか?
返答いただけましたら幸いです。

こうしてまとめていたら、めんどくさい性格だな、俺。と思った。

*1:これもわざわざ「リテール」と何度も言い換えてきたが

*2:適格消費者団体とは、消費者全体の利益擁護のために差止請求権を適切に行使することができる適格性を備えた消費者団体として、内閣総理大臣の認定を受けたもの