私は何を知っているか?

Mark/まあく タイトルはミシェル・ド・モンテーニュ(1533~1592)の言葉 「Que sais-je?(私は何を知っているか?)」

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manacaマイレージポイントについての覚え書き

manacaはここがお得なカード

manaca(マナカ)は、中京圏(広域名古屋圏)の交通事業者が採用するICカード乗車券システムである。SuicaPASMO(やTOICA,ICOCA,Kitaca,SUGOCA,はやかけん……以下略)等と基本的には同じものだが、利用金額や利用回数に応じてマイレージポイントの発行を行うことが他の交通ICカードにはない大きな特徴である。これは従来発行されていた回数券やプレミアム付きプリペイドカードを代替するシステムとして導入された経緯によるものと思われる。JR系の各社が採用するサービスには同種の特典が一切なく、クレジットカードによるポストペイ(後払い)方式であるPiTaPaには近いものがあるが、券売機で手軽に購入できるプリペイド(前払い)方式のカードとしては画期的なサービスである。関東地区のバス事業者PASMOの利用時に付与するバス利用特典サービス「バス特」が似たサービスを提供している。


manacaマイレージポイントは次のような仕組みになっている。

  1. 事前に金額をチャージしたmanacaで乗車すると、事業者毎に利用金額・回数が計算される。
  2. センターシステムに1か月の利用金額・回数に応じたポイントが貯まる。
  3. センターに貯まったポイントは券売機等で自分で確認し、「還元」の操作を行う。
  4. 「還元」されたポイントはカードに記録され、乗車料金に使われる。

注意点としては、

  • ポイントは申し込み等の手続きの必要なく自動的に貯まるが、「還元」を行わなくては使えない。
  • センターに貯まるポイントの有効期限は1年間。
  • ポイントの付与は事業者(交通機関)ごとに計算される。名鉄に乗った分は名鉄のポイント、地下鉄・市バスに乗った分は名古屋市交通局のポイント。
  • 還元したポイントは、どの事業者で貯めたポイントかに関係なく、現金のチャージ分より優先し料金に充当される。
  • どの事業者で発行したmanacaカードでも、全ての事業者のマイレージポイントが貯まる。
  • 但し、買い物等で貯まる「名鉄たまルン」ポイントは、manacaマイレージポイントとは別の独自サービスなので、名鉄系の駅で購入したカード*1で、webでの入会手続きが必要。


このようにポイントの計算方法やルールが少々複雑ではあるが、市バス・地下鉄で1か月に1万円使ったモデルケースでは1720ポイント(円)が還元され、かなりお得である。*2事業者ごとのポイント付与率など詳しいことは公式サイトを参照されたい。

そしてマイレージポイントとは別に、事業者ごとに乗継割引の設定がある。名古屋市交通局の場合では、

をそれぞれ90分以内に乗継いだ場合に80円が自動的に割引される。2回の乗車を一組として、2回めの引き落としの際に割引料金が適用される。3回連続して乗車した場合の3回めは割引にならないが、3回めと4回めの利用が条件に当てはまれば4回めで割引される。



2012年4月21日からmanacaと、JR東海TOICAの相互利用が可能になったが、

ので注意が必要だ。



さて、ここからが本題なのだが、今までmanacaもあまり使っていなく、手元の約款(マナカ取扱規則、ICカード乗車券取扱規程など)もしっかり読んでいなかった。最近ちょくちょく出かける機会があるのでマイレージポイントを初めて還元してみて、券売機で印字した履歴を見ていたらおかしな点があることに気付いた。

ポイント還元分には乗継割引が適用されない?

先日、400ポイントを還元した直後、神宮西から地下鉄に乗り茶屋が坂まで行き、所用を済ませた後、基幹バスで栄まで乗り、再び地下鉄で金山に出た。履歴を見ていたら乗継割引が適用されるはずの2乗車めのバスでは通常の運賃が引き落とされ、3乗車めの地下鉄で適用されている。


▲1行め、神宮西で400ポイントを還元。2行め、神宮西ー茶屋が坂の運賃290円がポイントから引き落とされ、3行め、市バスで110ポイントと90円(計200円)が引き落とし、4行めで栄ー金山の運賃200円から80円が割引された120円が引き落とされている。

もしやポイント還元分を使用した際には乗継ぎ割引が適用されないのかと思い、冊子「マナカご利用案内」等を読んでみるがそのような記述はない。交通局テレホンセンターに質問してみると、「そんなはずはない。ポイント分にも乗継割引が適用される。実物を駅長室に持ってきて欲しい。」という主旨の回答を頂いたので、翌日栄駅の駅長室に持ち込んだ。


駅長室では履歴が最新の100件まで*3印字できるのでそれを頼み、件の質問をすると、やはりそんなはずはないと印字を持って奥の方へ行き相談を始めた。しばらく待っていると別の男の駅員さんが来て、「私どもも勉強不足で把握していなかったのですが……」と切り出した。約款を提示して、「ここの記述によると乗継割引は現金からチャージした分にのみ適用されるようです。」と仰る。なんと、約款でそういうことになっているならまあ合理的な理由だし、謎が解明したのですっきりというところ。一応カードの利用履歴も詳しく調べて後日電話をくれるとのことだったので納得して帰った。


しかし1組の乗車で80円引かれるか引かれないかというのは結構大きいし、この制度に詳しそうな駅員さんが今まで把握していなかったというのは少し不思議だ。駅員やテレホンセンターでも間違って案内しているということは問題だ。サービスインから14か月も経って、同種の質問や指摘が来ていないというのはちょっと腑に落ちない。駅員さんが示してくれたのはどこだったのかよく覚えていないが、もう一度約款を読んでみた。関連するのは、ICカード乗車券取扱規程、第4章 乗継割引料金のところだろう。

(乗合自動車に連絡して乗車する場合における乗継割引料金)
第43条 ICカード乗車券を使用して乗合自動車、高速電車、ガイドウェイバス高架区間、名鉄バス株式会社(以下「名鉄バス」という。)の乗合自動車(別表に定める区間に限る。以下同じ。)又は名古屋臨海高速鉄道株式会社の経営する鉄道線(以下「名臨高線」という。)から乗合自動車に90分以内に乗り継いで乗車する場合は、乗継後の乗合自動車における普通券料金等の差引きに当たっては、第27条第1項(第29条第1項、第35条第2項及び第37条第2項において準用する場合を含む。)及び第35条第1項(第37条第1項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、普通券料金等から次の各号に定める額を減じた額を差し引く。ただし、高速電車、ガイドウェイバス高架区間又は名臨高線からガイドウェイバス平面区間に乗り継いで乗車する場合は、この限りでない。
(1) 大人(第3号の場合を除く。) 80円
(2) 小児(第4号の場合を除く。) 40円
(3) 大人の割引対象者 40円
(4) 小児の割引対象者 20円
2 前項の取扱いは、一対の乗継ぎについて1回、乗継前の乗合自動車、高速電車、ガイドウェイバス高架区間、名鉄バスの乗合自動車又は名臨高線の料金等が同一のICカード乗車券のSF残額から差し引かれている場合において行う。ただし、乗継前の料金等の支払が次の各号のいずれかに該当する場合を除く。
(1) 複数人の料金等を1枚のICカード乗車券のSF残額から差し引いた場合
(2) SF残額が支払うべき金額に満たず、不足額を現金により支払った場合
(3) 自動券売機でSF(現金)により高速電車の普通券若しくは割引普通券又はこれに相当する名臨高線の乗車券に引き換えて乗車した場合(小児の割引対象者が割引用ICカード乗車券を使用して小児の割引普通券に引き換えたときを除く。)
(4) 高速電車及び名臨高線において、ICカード定期券(名臨高線の定期券が機能付加されているICカード乗車券を含む。)を使用して付加定期券(名臨高線の定期券を含む。)の通用期間内において通用区間外の駅から入場した後、通用区間内の任意の駅まで乗車して出場した場合であって、別途乗車区間の料金等が差し引かれたとき。


44条は(高速電車に連絡して乗車する場合における乗継割引料金)
○ICカード乗車券取扱規程

しかしこの条にも、「SF(現金)及びSF(ポイント)の使用条件」や、「料金の支払」の項を読んでもそのような記述は見当たらない。



はてと思い、冊子の別のところを読んでいて、気付いた。割引が適用されないのはおかしいとか言ってわざわざ問い合わせまでしたが、単純な私の勘違いであった。結論から言うと、90分以内に乗継いでいなかったのだ。それは、乗継時刻について書いてあるところを見たときに気付いた。

乗継時刻
<市バス>乗車時にバス料金箱にマナカをタッチした時刻(基幹バス新出来町線では降車時)
<地下鉄>入場駅で改札機にマナカをタッチした時刻

ああ、そうか。この日私が乗ったのは名古屋市バスで唯一、後乗り前降り(料金後払い)である基幹バス新出来町線だった。私が「乗った」と思っていた時刻から30分くらい後の降りた時刻が「乗継時刻」になっていたのだ。さらに地下鉄の改札を「出た」時刻だと思い込んでいたが、「入った」時刻からということらしい。それならば90分は過ぎている。散々盛り上がって申し訳なかった。

まあしかし言い訳だが、この乗継ぎ時刻がどの時点かというのは、結構くせ者な気がする。規程には厳密な定めがないようだ。名鉄バスでは乗車時と降車時の両方を基準にするが、市バスでは料金箱にタッチする時だけ。地下鉄の入場時から基幹バスの降車時までは要注意だ。



改めてまとめておこう。

  • manacaマイレージポイント還元分にも(条件を満たせば)乗継割引が適用される。
  • 乗継時刻の90分には要注意。
  • ポイント還元で乗車した分にはポイントはつかない。


▲基幹2号系統、新出来町線のバスは道路中央部分にバス停とバスレーンがある全国でも珍しい形態をとる路線でもある。

*1:(株)エムアイシー発行のカード。(株)名古屋交通開発機構発行のカードは非対応。

*2:ポイント付与率は利用時間帯などにより変動する。公式サイト参照。

*3:券売機では20件まで。Suicaでは同じ履歴は一度しか印字出来ないがmanacaは何度でも可。