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新たに相続時精算課税の適用を受けようとする年に贈与者等が死亡した場合の相続時精算課税選択届出書の提出先等について

相続税法の理解を深めるために作成したまとめ。

概要

贈与税の計算方式には、「暦年課税」方式と「相続時精算課税」方式がある。それぞれのメリット・デメリット等についてここで詳しく説明することはしない。原則的方式は暦年課税であり、相続時精算課税を選択するには、初めて適用を受けようとする年分の贈与税の申告書に添えて、相続時精算課税選択届出書を提出する必要がある。この届出書を提出した以後の年分のその贈与者からの贈与については、相続時精算課税となり、暦年課税に戻ることはできない。

然るに、相続時精算課税の適用を受けようと思い、贈与をした後に、その年中に贈与者が死亡してしまい相続が開始することとなった場合、又は受贈者が死亡した場合は、この相続時精算課税選択届出書の提出先や提出期限が通常と異なることとなるのであるが、この内容がテキストの解説を見てもいまいち頭に残らなかったので、ここで図表にまとめてみることにする。

新たに相続時精算課税の適用を受けようとする年に贈与者等が死亡した場合の相続時精算課税選択届出書の提出先等について

f:id:mark_temper:20160530030338p:plain

*1
*2
*3
*4


上記がこの表であるが、説明を加えてみる。一番左が通常の、相続時精算課税選択届出書を提出する際の手続規定である。受贈者が、受贈者の納税地の所轄税務署長に、贈与税の申告書に合わせて提出するのである。これが、その年に贈与者が死亡した場合には、提出先が贈与者の納税地の所轄税務署長となり、贈与者の死亡に係る相続税の申告期限がこれより先に到来する場合には、その日が期限となる。一方、同年に受贈者が死亡した場合であるが、届出書を提出するのは、死亡した受贈者の相続人・包括受遺者となり、受贈者の納税地の所轄税務署長に、受贈者の相続税の申告期限までに提出することとなるのである。


この変化が、これだけを見て覚えようとすると頭がこんがらがってくるのだが、(いや、もしかするとそのようなことになっているのは私の頭だけかもしれない。ここまでで十分理解できた方には以後は蛇足なので黙ってページを閉じてほしい。)これは、贈与税・相続税の申告書の提出先、提出期限と並べてみると、比較的すんなり理解できるようになる。というわけで次の項に続く。

具体例

当分更新しない。

贈与税・相続税の申告書の提出先、提出期限等

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贈与税の申告書の提出先は、受贈者の納税地の所轄税務署長、つまり、もらった側の住所地で行う。他方、相続税の申告書の提出先は、被相続人の納税地の所轄税務署長、つまり財産を与えた側の住所地で行う。なぜこのような違いを生じさせているかといえば、これが申告・納税(徴税)を行う上で合理的だからだ。即ち、贈与は複数の者から同年中に一人の者に贈与される場合が想定され(暦年課税)、実際に贈与税を申告・納付することとなる受贈者の住所地で行った方が都合が良い。一方、相続は、被相続人毎に相続税の計算を行うので、相続人等が複数いてそれぞれの住所地の税務署にバラバラに申告書を出されるより、被相続人の住所地に相続人等全員分の申告書をまとめて提出してもらったほうが税務署として都合が良いということだ。


あ。ちなみに上記は全て、贈与者/受贈者、被相続人/相続人が遠隔地に住んでいて、所轄税務署が異なる場合を想定している。それぞれの者が近所に住んでいて所轄税務署も同じならば、最初からどうでもいい規定だ。

具体例

当分更新しない。



翻って、先の相続時精算課税選択届出書の提出先を見てみると、これが合理的であることがよくわかる。通常、相続時精算課税に係る贈与の申告は、受贈者の納税地で行う。しかし贈与者が死亡した場合は、そのまま贈与者が被相続人となり、相続に移行することとなるので、被相続人の納税地に、被相続人の相続税の申告書と一緒に出してほしいということだ。もうわかると思うが、受贈者が死亡した場合には、受贈者が被相続人となるので、被相続人の相続人等が、被相続人の納税地に、被相続人の相続税の申告書と一緒に出してくれということなのだ。


贈与者等が死亡した場合に相続時精算課税選択届出書を提出する意味

ところで、相続時精算課税の適用を受けようと思っていた年に贈与者が死亡してしまい、相続が開始することとなった場合に、相続時精算課税選択届出書をあえて出す意味があるのだろうか。相続開始年分の被相続人からの贈与については、精算課税だろうと暦年課税だろうと、相続税の課税価格計算に取り込まれ、一体課税することとなる。贈与を受けた年に贈与者が死亡した場合の贈与税・相続税の課税関係を以下に示す。

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*5


相続税の計算上は同じことになるので、あえて暦年課税から精算課税に切り替える意味がないのではないかと思ったが、暦年課税からの生前贈与加算には適用がなく、相続時精算課税適用財産にだけ適用があるものを、2つ思いついた。最初の表に記入しておいたが、①債務控除と、②特定計画山林の相続税の課税価格の計算の特例だ。

一方、受贈者が死亡した場合だが、これははっきりと違いがある。暦年課税であれば、その年分の贈与税の計算をしておしまいだが、精算課税選択届出書を提出すれば、次に特定贈与者が死亡するまで、その受贈者の納税に係る権利・義務が、受贈者の相続人に承継されることになる。この結果が最終的にプラスになるかマイナスになるか、この時点では確定しないので、何年先になるかわからない相続税の申告義務が続くだけ面倒なことになるとは思う。もう一つメリットらしきものがあるとすれば、その受贈者が同年に他の贈与者からも多額の贈与を暦年課税で受けていた場合に、この贈与者からの贈与を精算課税にして暦年課税の計算から外すことで税率を下げることができるかもしれない。


以上、間違いがあればご指摘願いたい。


※本記事内で使用している相続税法の用語については、法令条文にできるだけ忠実になるよう抜き出しつつ、その意味を損ねない程度にわかりやすくなるよう言い換えをしています。
※ご自身の問題の解決にあたっては、税理士にご相談ください。

*1:相続税法 (相続時精算課税の選択) 第二十一条の九  贈与により財産を取得した者がその贈与をした者の推定相続人(その贈与をした者の直系卑属である者のうちその年一月一日において二十歳以上であるものに限る。)であり、かつ、その贈与をした者が同日において六十歳以上の者である場合には、その贈与により財産を取得した者は、その贈与に係る財産について、この節の規定の適用を受けることができる。 2  前項の規定の適用を受けようとする者は、政令で定めるところにより、第二十八条第一項の期間内に前項に規定する贈与をした者からのその年中における贈与により取得した財産について同項の規定の適用を受けようとする旨その他財務省令で定める事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 3  前項の届出書に係る贈与をした者からの贈与により取得する財産については、当該届出書に係る年分以後、前節及びこの節の規定により、贈与税額を計算する。 4  その年一月一日において二十歳以上の者が同日において六十歳以上の者からの贈与により財産を取得した場合にその年の中途においてその者の養子となつたことその他の事由によりその者の推定相続人となつたとき(配偶者となつたときを除く。)には、推定相続人となつた時前にその者からの贈与により取得した財産については、第一項の規定の適用はないものとする。 5  第二項の届出書を提出した者(以下「相続時精算課税適用者」という。)が、その届出書に係る第一項の贈与をした者(以下「特定贈与者」という。)の推定相続人でなくなつた場合においても、当該特定贈与者からの贈与により取得した財産については、第三項の規定の適用があるものとする。 6  相続時精算課税適用者は、第二項の届出書を撤回することができない。

*2:相続税法施行令 (相続時精算課税選択届出書の提出) 第五条  法第二十一条の九第二項 の規定による同項 に規定する届出書(以下「相続時精算課税選択届出書」という。)の提出は、同条第一項 の贈与をした者ごとに、法第二十八条第一項 の規定による申告書に添付して納税地の所轄税務署長にしなければならない。 2  相続時精算課税選択届出書には、贈与により財産を取得した者の戸籍の謄本その他の財務省令で定める書類を添付しなければならない。 3  贈与をした者が年の中途において死亡した場合には、相続時精算課税選択届出書の提出は、第一項の規定にかかわらず、当該贈与をした者の死亡に係る相続税の納税地の所轄税務署長にしなければならない。 4  前項に規定する場合に、同項の贈与に係る法第二十八条第一項 の規定による申告書の提出期限までに当該贈与をした者の死亡に係る法第二十七条第一項 の規定による申告書の提出期限(以下この項において「相続税の申告期限」という。)が到来するときは、相続時精算課税選択届出書の提出は、当該相続税の申告期限までにしなければならない。この場合において、当該贈与をした者の死亡に係る同条第一項 の規定による申告書を提出するときは、相続時精算課税選択届出書の提出は、当該申告書に添付してしなければならない。

*3:相続税法 第二十一条の十八  贈与により財産を取得した者(以下この条において「被相続人」という。)が第二十一条の九第一項の規定の適用を受けることができる場合に、当該被相続人が同条第二項の規定による同項の届出書の提出期限前に当該届出書を提出しないで死亡したときは、当該被相続人の相続人(当該贈与をした者を除く。以下この条において同じ。)は、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(相続人が国税通則法第百十七条第二項 (納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に、政令で定めるところにより、当該届出書を当該被相続人の納税地の所轄税務署長に共同して提出することができる。 2  前項の規定により第二十一条の九第二項の届出書を提出した相続人は、被相続人が有することとなる同条第一項の規定の適用を受けることに伴う納税に係る権利又は義務を承継する。この場合において、前条第二項及び第三項の規定を準用する。 3  第一項の規定により第二十一条の九第二項の届出書を提出することができる被相続人の相続人が当該届出書を提出しないで死亡した場合には、前二項の規定を準用する。

*4:相続税法基本通達 (「相続時精算課税選択届出書」の提出先等) 21の9-2 贈与者が贈与をした年の中途において死亡した場合又は贈与により財産を取得した者が相続時精算課税選択届出書の提出期限前に当該相続時精算課税選択届出書を提出しないで死亡した場合において、当該贈与を受けた財産について相続時精算課税の適用を受けるために提出する相続時精算課税選択届出書の提出先及び提出期限は、次に掲げる場合に応じ、それぞれに掲げるところによるのであるから留意する。(平15課資2-1追加、平16課資2-6改正) 区分 提出先 提出期限 (1) 贈与者が贈与をした年の中途で死亡した場合 (注)相続時精算課税選択届出書に係る受贈財産については、贈与税の申告を要しないのであるから留意する。 1 受贈者に係る贈与税の申告書の提出期限 (相続税法第28条第1項又は第2項に規定する期限)以前に当該贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限(同法第27条第1項又は第2項に規定する期限)が到来するとき 当該贈与者に係る相続税の納税地を所轄する税務署長 当該贈与者に係る相続税の申告書の提出期限 2 贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限 (相続税法第27条第1項又は第2項に規定する期限)前に受贈者に係る贈与税の申告書の提出期限(同法第28条第1項又は第2項に規定する期限)が到来するとき 当該受贈者に係る贈与税の申告書の提出期限 (2) 贈与により財産を取得した者が相続時精算課税選択届出書の提出期限前に当該届出書を提出しないで死亡した場合(上記(1)に該当する場合を除く。) 当該受贈者に係る贈与税の納税地を所轄する税務署長 当該受贈者に係る贈与税の申告書の提出期限

*5:相続税法基本通達 (相続開始の年に当該相続に係る被相続人から受けた贈与財産の価額) 11の2-5 相続又は遺贈によつて財産を取得した者がその相続開始の年において当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産(被相続人を特定贈与者とする相続時精算課税の適用を受ける財産を除く。)の価額については、法第21条の2第4項の規定により贈与税の課税価格に算入しないで相続税の課税価格に加算するのであるから留意する。  また、相続開始の年において特定贈与者である被相続人からの贈与により取得した相続時精算課税の適用を受ける財産の価額については、法第21条の10の規定により贈与税の課税価格に算入される(法第28条第4項の規定により当該財産については贈与税の申告を要しない。)とともに、法第21条の15第1項又は第21条の16第1項の規定により相続税の課税価格にも算入されることとなるのであるから留意する。(平15課資2-1改正) (注) 相続開始の年において当該相続に係る被相続人からの贈与により財産を取得した者が当該財産について相続時精算課税の適用を受けるためには、当該相続開始の年の前年以前の年分の贈与について法施行令第5条第1項に規定する「相続時精算課税選択届出書」(以下「相続時精算課税選択届出書」という。)を提出している場合を除き、当該相続時精算課税選択届出書を提出しなければならないのであるから留意する。

いなくなりたいという願望

最近、いろいろな人と話す機会が以前に比べると増えた。職場に馴染んできて、先輩や上司やお客さんとも話したり、交渉したり、今度新しく後輩も入ってきたりして。仕事に勉強に頑張って、彼女や家族、友達との関係。

そういうのが楽しいと思う同時に、タスクをこなすストレスでもあり、紛いなりにもそんな社会生活を送っている自分がたまに滑稽にも思えてくる。

周りの人との関係性を築いて、しがらみができて、責任感が生じて、自分が根付いていくことに忌避感がある。多くの人と関わって存在感が増すと、突然いなくなることが迷惑になるから。

たくさん喋った日は、夜寝る前にその日の会話を思い出す。自分の言った余分なことを思い出し、できなかったことを思い出し、自分が嫌になり、言いようのない漠然とした不安を抱き、虚無感に襲われる。人間関係が恐ろしく面倒になる。

ある日、ふらっと何も誰にも言わずに居なくなりたい。全部投げ出して、無になりたい。そういう願望が自分にはあるのだと思った。

願望だけじゃない。実際今までの人生で、何もかも嫌になり、失踪しようと行動に移したことが何度かある。顛末はここでは省く。ホームレスになったり、巡り巡ってあいりんに流れ着いたりする人の中には、そういうメンタリティや精神障害を持った人が多いとも聞くので、何かあればわりと自分に近い世界のことかもしれないと思っている。

小学校、中学校、高校、大学と、全部不登校になり引きこもってドロップして(その度に一念発起して復帰もして)きた自分には、その後の社会人時代も含め、友人関係は切って、切られしてきたのでほとんど何も残っていない。

最近でも、何かの拍子に彼女と突然連絡を取らなくなり、数日間音信不通ということを繰り返している。その度に謝り、もうしないと約束し、心を入れ替えようと決意を新たにする。

「投げ出さない」が30歳になった時の目標で、「毎日コツコツやることをやる」が今年の初詣で誓った目標であったはずなのに、3日と経たず、あんなに考えて決めた目標がどうでもいいことになってしまう。考えが自分でも驚くくらい目まぐるしく変わる。(完全に株をやるには向いてない。)

AD/HD、発達障害の診断を受け、コンサータの投薬を開始しておよそ2ヶ月になる。

この治療を始めることになったのは、もともと次のような問題に対処する必要性に迫られてのことだった。

1.もともと睡眠が長くて、8時間くらい寝ないと昼間集中力がなくフラフラしたり寝てしまう。(これは小学生くらいからずっとそうだ。)

2.気分の変動が激しく、すぐ諦めてしまうので、一つのことが継続できない。
3.ネットやスマホ、新聞を読み出すと時間が来ても止められない。

明らかに、仕事をしながら税理士試験の勉強をするには支障していて(今は2時間半の授業を週3コマ、その2倍から3倍の復習、問題演習、暗記時間を作らないと授業についていけなくなる。)、これでは10年かかっても受からない(税理士試験は本当に10年くらい勉強している人がいる)から、なんとか対処しなくてはということでたどり着いた。

成果は、昼間疲れて寝てしまうということはほとんどなくなった。落ち込んだ時の気持ちの切り替えも前より早くできるようになった。という点には出ているが、なかなか他の部分では改善していない。

人と関わりたいと思う一方で、関係を絶ちたい、いなくなりたいという願望が出てくるのは、障害に関連してのことなのか。治療で改善することができるのか。今度医師に聞いてみようと思う。

過ぎ去ってしまえばなんでそう思ったのかもわからなくなるくらいだから、できれば最初からこんな感情に支配されなくて済むようにしたい。

今回こんなことを考え出したのは、たぶん、このところ急激に寒くなって、体が冷えて気分も低下したこと。PCとスマホのやり過ぎで、目の疲れが激しく、首、肩、背中の凝りが酷く、毎週マッサージに行っても痛くて他ごとができなくて、もう絶望的な気分になったこと、から始まっている。これを書いているうちに大分気分が落ち着いてきた。ここまで書くのに約3時間。

皇室警衛の警察車両

名古屋国際会議場の周辺を通りかかったら、制服・私服の警官が立ち警戒していた。何かあるなと思い会場を通り過ぎようとしたら、黒いスーツの警官に恐い顔で止められた。よく聞けなかったが、調べたら天皇陛下が国際学会に臨席されていたようだ。

 

www.sankei.com

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正面入り口の前に白バイと共に止まっていた、赤青のパトライトを備えたパトカー。所属は愛知県警と書かれている。調べたら、前面と側面に「3」と大書きされたこのパトカーは陛下の車列通過3分前に先行して(関係者への周知目的で)走る車のようだ。
 
会場の外随分離れたところまで柵で囲って厳重警備で、上空にはヘリコプターが飛んでいた。
写真を数枚撮って通り過ぎたのでその後は分からず。
 
 
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JR長崎本線の「あわや正面衝突」は、不運中の不運により発生した可能性

前の記事を公開したところ、コメント欄に詳しく説明してくれる方がいらっしゃって、事の次第ががわかってきました。
(前の記事の私の記述の一部を訂正します。)
ありがとうございます。
インターネットすごい。


今外出中でしばらく帰らないので、スマホから要点だけを更新します。


事故(インシデント)発生までの流れ
1.下り19号が、異音検知のため、肥前竜王駅場内信号の直上で停車(この停止位置が微妙でした)
このとき、19号は肥前竜王駅を通過予定であったため場内信号機は本線進行現示
2.下り19号が点検のため遅れるため、指令は列車交換駅を変更
下り19号を場内の外方で待機させるため停止現示にし(しかし下り19号からは見えない)、
上り20号に肥前竜王駅待避線への進入を許可(分岐は下り方/上り方とも待避線側に開通)
3.上り20号が肥前竜王駅退避線で停車
4.指令は点検の終わった下り19号に、(分岐器の切り替え後に場内信号機が本線の進行現示になる前提で)運転再開を指示
5.下り19号は最後に見た場内信号機が進行であったので発車(実際には停止現示)
6.下り19号退避線側に進入し非常停止


問題は1の時点で、下り19号は場内信号機を通過したと認識していたが、機械的には手前で停止したと検知される場所で止まっていたこと。
図に示すとこうなります。


f:id:mark_temper:20150524183249j:plain


787系の写真は、真横からの写真が見つけられませんでしたがWikipediaから。
的確な言葉ではないですが、図中に「死角」と書いた、この距離にして約1m前後の間に信号機が入る微妙すぎる位置で停止してしまったようです。
これが指令と運転士との間で認識に齟齬をきたし事故の発端となった可能性が高いです。


鉄道の閉塞の原則は、一つの閉塞(区間)に一つの列車しか入れないルールにすることで列車同士の衝突を防いでいます。
下り19号が停まった位置が、これよりほんの少しでも前に進んでいれば、在線を検知する車輪がセクションを超え、下り19号は既に肥前竜王駅場内に入っていることとなり、上り20号が退避線へ入線する信号の切り替えはできなかったはずです。
また逆に、下り19号がこれよりも手前で止まっていれば、運転再開時に場内信号機が停止現示になっているのでそれを見た運転士は出発しなかったはずですし、出発しようとしてもATSが作動したはずです。(ATSの直下地上子は信号機より少し手前にあるので、それよりも手前に停まっていなければ反応しませんが。)

たまたま停まった位置が、運が悪すぎたとしか言いようがありません。


上り20号の交換駅を直前で変更したり、19号と十分な連絡を行わなかった指令の対応に難があったのではないかと、個人的には思います。
同種の事故を機械的に防ぐ対策として思いついたのは、少しでも列車の前の位置で在線検知を行わせるための車輪(蒸気機関車の先輪のようなもの)を、先頭台車よりも前に取り付けること、ではどうでしょうか。



(5/26 1:00追記)
今回、保安システムの故障や誤動作はなかったようですし、乗務員や指令員に規則に違反した取扱いもなかったようです。ただ、これまで誰も問題視しなかったようなシステム上の穴があった。

1.在線検知をする車輪と車両先端部分の間に数メートルの誤差があること。
2.ATS直下地上子通過後に停止現示を出しても防護が取れないこと。
3.安全側線のない待避線に進路を開通すると、対抗列車側とも進路が繋がってしまうこと。

これらの悪い条件が重なって今回の事故に繋がったと言えます。


報道から裏付けとなる情報が出てきています。

これと前後し、19号は点検を終え、運転士は現在地を「鳥栖(佐賀県)から49キロ地点」と指令に報告した。根拠は、車内モニターに表示された数字。しかし、車輪の回転から距離を計算するため厳密ではなく、正しくは49・16キロ地点だった。この約160メートルの差で、指令は19号が、直前に停止した肥前竜王駅手前の信号に達するまで「余裕」があると誤解した。

 指令側にも、誤解が増幅する要因があった。指令センターにも、19号は信号手前に止まっていると表示されていたからだ。運転席の位置は信号を数メートル過ぎていたが、車両全体は信号を過ぎておらず、信号を越えたと判定するセンサーまで数十センチ届いていなかった。

 緊急停止後、信号は赤に変わっていた。指令は、19号を信号まで進ませ、そこでポイント(分岐器)を待避線から本線に切り替えるつもりで、運転再開を許可した。

 徐々にスピードを上げていく19号。しかし、運転士の前方にすでに信号はない。本線を進むと誤解していた運転士は、待避線に約40メートル入った地点で慌ててブレーキをかけた。20号は93メートルまで迫っていた。自動列車停止装置(ATS)が作動する地点は過ぎていたため、ブレーキが少し遅れれば、ぶつかる危険があった。

システム過信、重なる誤解 あわや衝突のJR特急 : 47トピックス - 47NEWS(よんななニュース)

JR長崎本線のあわや正面衝突はなぜ起きたか

5月22日、JR長崎本線で「特急かもめ」同士があわや正面衝突という距離に接近して緊急停止する事故があった。この記事では、なぜこのような事故が起きたのか原因を考えてみたい。


www3.nhk.or.jp



f:id:mark_temper:20150523022441j:plain
JR長崎線:わずか93メートルまで…特急同士が衝突寸前 - 毎日新聞から引用

続きを読む

主要銀行振込手数料まとめ 2014年7月現在5万円を境に手数料を変えている銀行はどこか

前回の記事をアップしてから半日ほど全然アクセスが伸びなくていじけていたが、仕方なく自分で3ブクマ目をしたら急速に伸びてきた。コメントくれた方、スターを押してくれた方もありがとうございました。


前回のおさらいも兼ねて。銀行の振込手数料は、これまで振込金額3万円を境に金額に差があることが一般的であった。これは、振込の取扱票が、印紙税法別表1に定める17号文書(金銭の受取書)に該当し、3万円以上100万円まで、一通につき200円の印紙税が課せられるため、その分の金額を反映しているとされる。

この印紙税の非課税枠が、今年の4月、3万円から5万円に引き上げられたため、振込手数料もそれに合わせてスライドさせるべきだという意見もある。だがあくまで、手数料のうち印紙税がいくらと公表されているわけでなく、それぞれの銀行が種々のコストと利益も計算して定めているようだ。(銀行の手数料の設定は所轄官庁の許認可事項ではない?)

4月から消費税の引き上げに伴い、各銀行とも手数料の改定をしたので、その際に変えるなら同時に変えてしまうのが丁度良かったはずだが必ずしも全ての銀行がそうしたわけではないようだ。特に昨今、事業者間での競争で会員顧客への優遇プログラムや提携先の戦略もあり、手数料の設定にもそれぞれの思惑があるようだ。

id:IthacaChasma「まだ区分が5万円ではなく3万円になったままの銀行一覧」の方が需要あると思……ったけどほとんどがまだ3万円かなあ。さっさと5万円に変えてほしい。

このようなコメントももらったので、どうせならどれくらいの銀行が反映させたのかと調べてみた。といっても都市銀行と、一部個人的に注目している計10銀行に限った。本当は表にまとめて、一覧にするとよいのだが、さすがにそこまで手が回らなかったので、各行のサイトからのコピペという手軽な手段に甘んじた。

それでは各銀行、張り切ってどうぞ。


ゆうちょ銀行

ゆうちょ口座間の振込

他行への振込

現金で振替口座への振込

振替−ゆうちょ銀行

大垣共立銀行


というわけで、5万円を境にしていたのは、従来型の銀行ではゆうちょ銀行のみ。メガバンクは依然として3万円のままであった。意外にもイオン銀行が5万円。同行間の振込を無料にしているゆうちょといい、5万円に変えて来たところは意欲的な印象がある。

前に書いたように、現金での振込を受け付けず、口座間の振込にすれば印紙税をカットできるはずで、セブンはそうしているが、イオン銀行には現金での振込を受け付ける機種が一部にあるそうだ。

金額により手数料を変えていないのが、ネット系のSBIネット銀行(SBIネット銀の法人顧客は3万円が境)やソニー銀行、ATM専業のセブン銀行。ネット銀行は振込手数料が無料であったり、一定の回数を超えても他行に比べ安く一律の料金であることが多いが、りそな銀行が一律の設定であるのはやはり異例か。



本当はこんな記事を書いている場合ではないのでしばらくネットを断ちます。それでは、ごきげんよう。

銀行ATMと印紙税

銀行ATMの利用明細票に書かれている印紙税について解説した記事が、はてブで混乱を招いていた。コメントで書こうと試みたが印紙税法の説明が思いのほか複雑で、ブコメだけで簡潔に書くのは困難だった。


銀行ATMの利用明細票

大元の税理士の記事には、三井住友銀行の振込票と、セブン銀行の利用明細票の画像を貼って、セブンは印紙税を節約していると書かれている。だが預入の明細票と、振込の取扱票は違う。

3番目に紹介した記事で、印紙税法の取扱が詳しく整理されて解説されているので、それを見て欲しい。税法上の取扱いなのでこれより簡潔に書こうと思っても限界がある。

預入

銀行が口座に入金を受けたときの、本来の、預入を証する書類は、14号文書(金銭又は有価証券の寄託に関する契約書)で印紙税の課税文書となる。

だが、最近の銀行は、取引内容や預入額等の表記を省略して、取引後の残高のみ表示にすることでこの14号文書(課税文書)となることを回避している。「いくら預かりました」という取引の部分の文書は省略して、結果「口座にこれだけ入っています」という残高証明書のような文書だけを出していることになる。この「残高証明書のような文書」=利用明細票には課税する規定がないのである。

これはセブン銀以外の銀行でもやっていることなので、セブン(だけ)が賢い!他の銀行は1円の入金にもいちいち200円の印紙税を払っている、というのは間違い。

振込

これに対して、銀行が現金を受け取って振込を受け付けましたという振込票は、17号文書(受取書)に該当し、領収書等と同様、5万円未満のものを除き課税対象となる。*1


最初の記事の、三井住友銀行の振込票に「印紙税申告納付につき麹町税務署承認済」とあるのは、文書に収入印紙を貼って消印する代わりに、後でデータを基に税務署に印紙税の申告納付をしているという意味である。一件5万円未満なので実際には非課税に該当するはずだが、印刷されているのは、金額に関係なく一律に印刷されているのかもしれない。


同じATMから出てくる紙でも、これらの扱いが違うということを最初の記事が書かずに混同して比較しているのがそもそもの混乱を招く原因。たまたま筆者がSMBCの振込票とセブン銀の利用明細票とを見て思いつきで書いたのではないか。


印紙税の摩訶不思議

そもそも印紙税というのが、課税根拠が最もよくわからない税金の一つ。


現金で支払う場合の領収書(レシート)にしても、5万円未満に分割して払えば印紙税不要。一件の取引を複数に分割することは何ら問題ない。租税回避には当たらないとされている。9万円の買物をして1枚のレシートで出せば(発行者である店に)収入印紙の貼付け義務があるが、4万5千円のレシート2枚に分ければ不要だ。


現金で支払えば印紙税の納付が必要となる取引でも、カードで支払えば不要。クレジットカードでの買物はカード会社を通した信用取引であり、金銭の収受は客と店との間では行われていないからだ。クレジットカードの決済票に「領収書」と書かれていても、それは税法上の領収書とはならない。*2


課税文書の発行そのものを無くしてしまえば、印紙税の納付も不要となる。この発想が上記した銀行の利用明細票であるが、紙を出す代わりにATMの画面で変えてしまうとか、メールが送られてくるようにすれば、振込票にかかる印紙税も(銀行が)節税できるはずだ。


通帳も印紙税の課税文書となっている。新興のネット銀行等に限らず、大手都市銀行でも通帳の発行を省略する代わりに金利優遇プラン等を用意している口座がある。

振込でも印紙税不要にする方法

セブン銀以外の一般の銀行での振込も、銀行が直接現金を受け取っていなければ印紙税は不要となる。窓口やATMで現金を差し出して振込を行えば、銀行が一旦お金を受け取っているので、その明細は課税文書である17号文書となる。だが、利用者が一旦自分の口座にお金を入れて(1取引目)、その口座から別の口座へ振込を行えば(2取引目)、1取引目は先ほどの理屈で14号文書の発行を省略できる。2取引目は銀行内部でのお金の移動となり、銀行と利用者の間で金銭のやり取りは行われていないので、その明細は17号文書にならない。結果として同じ振込でも、印紙税の納付義務の有無が生じる。


銀行の振込手数料にも、現金で受け付けた場合と口座から振り替えた場合で金額に差がついている。


セブン銀行のATMでは、カードを使って自分の口座からの振込しかできないので、結果的に印紙税の必要となる課税文書を発行しなくて済むようになっている。その点で、セブン銀は確かに賢いと言えるが、従来の銀行がこれまでできた現金振込の取扱を中止するのは難しいだろう。



各銀行で、入金、出金、現金での振込(5万円未満、以上)、口座からの振込(5万円未満、以上)とやってみて、利用明細票にどのように表記されるか、印紙税の表記はどうなっているか、どこかのブロガーはやってみてアップして欲しい。

*1:平成26年3月31日以前に作成されたものについては、受取金額が3万円未満のものが非課税

*2:クレジット販売の場合の領収書|印紙税目次一覧|国税庁