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私は何を知っているか?

Mark/まあく タイトルはミシェル・ド・モンテーニュ(1533~1592)の言葉 「Que sais-je?(私は何を知っているか?)」

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銀行ATMと印紙税

経営・会計 法律 租税

銀行ATMの利用明細票に書かれている印紙税について解説した記事が、はてブで混乱を招いていた。コメントで書こうと試みたが印紙税法の説明が思いのほか複雑で、ブコメだけで簡潔に書くのは困難だった。


銀行ATMの利用明細票

大元の税理士の記事には、三井住友銀行の振込票と、セブン銀行の利用明細票の画像を貼って、セブンは印紙税を節約していると書かれている。だが預入の明細票と、振込の取扱票は違う。

3番目に紹介した記事で、印紙税法の取扱が詳しく整理されて解説されているので、それを見て欲しい。税法上の取扱いなのでこれより簡潔に書こうと思っても限界がある。

預入

銀行が口座に入金を受けたときの、本来の、預入を証する書類は、14号文書(金銭又は有価証券の寄託に関する契約書)で印紙税の課税文書となる。

だが、最近の銀行は、取引内容や預入額等の表記を省略して、取引後の残高のみ表示にすることでこの14号文書(課税文書)となることを回避している。「いくら預かりました」という取引の部分の文書は省略して、結果「口座にこれだけ入っています」という残高証明書のような文書だけを出していることになる。この「残高証明書のような文書」=利用明細票には課税する規定がないのである。

これはセブン銀以外の銀行でもやっていることなので、セブン(だけ)が賢い!他の銀行は1円の入金にもいちいち200円の印紙税を払っている、というのは間違い。

振込

これに対して、銀行が現金を受け取って振込を受け付けましたという振込票は、17号文書(受取書)に該当し、領収書等と同様、5万円未満のものを除き課税対象となる。*1


最初の記事の、三井住友銀行の振込票に「印紙税申告納付につき麹町税務署承認済」とあるのは、文書に収入印紙を貼って消印する代わりに、後でデータを基に税務署に印紙税の申告納付をしているという意味である。一件5万円未満なので実際には非課税に該当するはずだが、印刷されているのは、金額に関係なく一律に印刷されているのかもしれない。


同じATMから出てくる紙でも、これらの扱いが違うということを最初の記事が書かずに混同して比較しているのがそもそもの混乱を招く原因。たまたま筆者がSMBCの振込票とセブン銀の利用明細票とを見て思いつきで書いたのではないか。


印紙税の摩訶不思議

そもそも印紙税というのが、課税根拠が最もよくわからない税金の一つ。


現金で支払う場合の領収書(レシート)にしても、5万円未満に分割して払えば印紙税不要。一件の取引を複数に分割することは何ら問題ない。租税回避には当たらないとされている。9万円の買物をして1枚のレシートで出せば(発行者である店に)収入印紙の貼付け義務があるが、4万5千円のレシート2枚に分ければ不要だ。


現金で支払えば印紙税の納付が必要となる取引でも、カードで支払えば不要。クレジットカードでの買物はカード会社を通した信用取引であり、金銭の収受は客と店との間では行われていないからだ。クレジットカードの決済票に「領収書」と書かれていても、それは税法上の領収書とはならない。*2


課税文書の発行そのものを無くしてしまえば、印紙税の納付も不要となる。この発想が上記した銀行の利用明細票であるが、紙を出す代わりにATMの画面で変えてしまうとか、メールが送られてくるようにすれば、振込票にかかる印紙税も(銀行が)節税できるはずだ。


通帳も印紙税の課税文書となっている。新興のネット銀行等に限らず、大手都市銀行でも通帳の発行を省略する代わりに金利優遇プラン等を用意している口座がある。

振込でも印紙税不要にする方法

セブン銀以外の一般の銀行での振込も、銀行が直接現金を受け取っていなければ印紙税は不要となる。窓口やATMで現金を差し出して振込を行えば、銀行が一旦お金を受け取っているので、その明細は課税文書である17号文書となる。だが、利用者が一旦自分の口座にお金を入れて(1取引目)、その口座から別の口座へ振込を行えば(2取引目)、1取引目は先ほどの理屈で14号文書の発行を省略できる。2取引目は銀行内部でのお金の移動となり、銀行と利用者の間で金銭のやり取りは行われていないので、その明細は17号文書にならない。結果として同じ振込でも、印紙税の納付義務の有無が生じる。


銀行の振込手数料にも、現金で受け付けた場合と口座から振り替えた場合で金額に差がついている。


セブン銀行のATMでは、カードを使って自分の口座からの振込しかできないので、結果的に印紙税の必要となる課税文書を発行しなくて済むようになっている。その点で、セブン銀は確かに賢いと言えるが、従来の銀行がこれまでできた現金振込の取扱を中止するのは難しいだろう。



各銀行で、入金、出金、現金での振込(5万円未満、以上)、口座からの振込(5万円未満、以上)とやってみて、利用明細票にどのように表記されるか、印紙税の表記はどうなっているか、どこかのブロガーはやってみてアップして欲しい。

*1:平成26年3月31日以前に作成されたものについては、受取金額が3万円未満のものが非課税

*2:クレジット販売の場合の領収書|印紙税目次一覧|国税庁