私は何を知っているか?

Mark/まあく タイトルはミシェル・ド・モンテーニュ(1533~1592)の言葉 「Que sais-je?(私は何を知っているか?)」

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報道被害を生んでおいて、しれっと他人事のように報じる某新聞

まあ、うちでとっているのは今は中日新聞だけなんですけど(笑)。一連の食品偽装表示の問題が全国に広がりを見せております。どこまでを問題とするべきか、線引きの難しいものもあり、表示が正確でなかったとしてもさして支障のないものから、消費者からしたら確かめようのない悪質なものまで、定期的にこのような問題が発覚して、人の首が飛ぶような重大なことであるということが巷間に啓発されるのがよいのではないかなどと思っております。

さて、名古屋が誇る中日新聞が、地元、名鉄グランドホテルのレストランでロブスターの一種を伊勢エビと表示していたと、1日付け夕刊の社会面トップででかでかと取り上げました。


中日新聞11月1日付夕刊

ネット上で確認できるのはこの記事だけなのですが、紙面ではご覧のように伊勢エビとロブスターの写真付きで「価格は数倍違う」と見出しを付けています。ここに載せられているロブスターは、我々がロブスターと聞いて一般にイメージするようなハサミの大きいロブスターで、いかにもこのロブスターが伊勢エビと称して提供されたかのような印象を与えています。これと、総支配人の「伊勢エビとロブスターはほぼ同種だと思っていた。職場の慣例で使われており、認識が薄かった」というコメントを見ると、素人目にも全然別ものに見えるようなものを、同じだと思っていたというのは随分と苦しい言い訳、酷い対応だと思うでしょう。



しかし、翌2日の朝刊一面に掲載された、ホテル提供のロブスターの写真を見ると、印象が変わります。このロブスターに特徴的な大きなハサミはなく、より伊勢エビっぽい形をしています。

しかしながら解説で、三重県水産研究所の話として、

ロブスターも伊勢エビも、海底を泳がず歩いて移動する「大型エビ」だが、ロブスターはアカザエビ科で、伊勢エビはイセエビ科。ロブスターはオマールエビなどのようにはさみを持つが、伊勢エビが、はさみがない。

として別物であると言い切っています。


中日新聞11月2日付朝刊


ところが、さらに3日の朝刊の続報では、話が変わります。

同ホテルが使っていた「アフリカ産ロブスター」は、イセエビ科に属する伊勢エビの仲間とみられ、はさみは小さくて、姿形も日本の伊勢エビとそっくり。流通名では「アフリカミナミイセエビ」「アフリカンロブスター」などと呼ばれる。


中日新聞11月3日付朝刊

要するにこのロブスターは業界で、「イセエビ」として通っていることもある、かなりイセエビに近い、ロブスターのようです。このエビを伊勢エビとして表示することの是非はおいておいて、酷いのは、この記事につけた中日新聞の見出しが、「誤解の苦情も」。

「はさみを切り取って偽装をしていたなら、悪質だ」などと誤解した苦情が続いている。

などと、さも他人事のように書いていますが、名鉄グランドホテルが提供していた伊勢エビが大きなはさみのついたロブスターであるという、誤解を与える記事を書いたのは間違いなく中日新聞だと思うのですが。最初からホテルに話を聞いて、掘り下げていればこんなやらかしはなかったのではないでしょうか。これを見た後に先の総支配人のコメントを見ると印象もだいぶ変わってくると思います。ホテルからしたら、訂正して謝罪して欲しいレベルの先走った記事だと思うんですがねえ。