私は何を知っているか?

Mark/まあく タイトルはミシェル・ド・モンテーニュ(1533~1592)の言葉 「Que sais-je?(私は何を知っているか?)」

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税理士試験で使える電卓について国税庁に問い合わせてみた

2014年4月現在最新の情報は、以下の記事もご覧ください。

先の記事で紹介した検算機能について、税理士試験で使えるのか否か、諸説あるんですよね。ネットで検索してみても、明確に不可と書いているページもあれば、音が鳴るからNG(設定で消せばOK)、実際に使って問題なかった、等。amazonのカスタマーレビューの中にも両方の見解が見られます。*1 *2 *3 *4 *5


いろいろ参考にして、どうやら大丈夫そうだと判断していたのですが、記事を書くにあたってどうせなので国税庁国税審議会に電話で問い合わせてみました。私の中では結構衝撃の返答をもらったので報告します。ネット上にいろいろ書いている人も直接問い合わせたことがある人はあまりいないのですね。受験案内にあること以上のことは即答はしてもらえないかと思っていたのですが、意外とすんなり返答をもらえました。


税理士試験で使える電卓に関する規定は、受験案内にも書かれているのですが国税庁のサイトには若干詳しく書かれていました。

問29 試験に使用できる計算機を教えてください。

(答) 計算機は、次の4つの条件の全てに該当する場合にのみ使用が認められます。

乾電池や、太陽電池で作動する電源内蔵式のものであること。試験場では、コンセントは使用できません。
演算機能のみを有するものであること。紙に記録する機能、音が出る機能、計算過程をさかのぼって確認できる機能、プログラムの入力機能があるものは、その機能の使用のみならず、計算機全体が使用できません。(消費税の税込み、税抜き機能のみを有する電卓は使用可)

※ 計算過程をさかのぼって確認できる機能とは、例えば、本人が入力した計算式や計算過程を記憶し、さかのぼって画面上で確認できる機能を差しており、計算結果(答)のみを確認する機能はこれに該当しません。

数値を表示する部分がおおむね水平であるもの。表示窓が極端に横に倒れるものなどは使用できません。
外形寸法がおおむね26センチメ−トル×18センチメ−トルを超えないものであること。つまり、おおむねB5判の紙からはみ出ない大きさの計算機を使用してください。

試験に使用できる文房具・計算機について|税理士試験に関するQ&A|国税庁

検算機能

以下電話で問い合わせた内容です。

「使用できない電卓として、計算過程をさかのぼって確認できる機能とあるのですが、検算機能がある電卓はこれに該当するのでしょうか?」
「検算機能の内容を教えてください。」
「一度目に入力した式をもう一度入力すると同じであるか否かを判定できるものです。」
「計算の過程はチェックしないということでよろしいですか?」
「計算の過程とはどういうことになりますか?」
「1+1+1が3になるじゃないですか。検算機能を使って1+2は3となってOKになりますか?OKになるのであればそれは使えますが、計算の過程を記憶するようなものは使えないという意味なんですね。」

「はー、なるほど。カシオの検算機能というものは式の過程を記録して違っていたら画面上に表示してくれるというものなんですが、、」
「となると、使えないということになりますね。」
「使えないということなんですか、これは!」
「ええ。」

あらららら。ダメみたいです。本人が入力した計算式や計算過程を記憶し、さかのぼって画面上で確認できる機能とは、入力した式を画面上で自律的に見せてくれるもので、カシオの検算機能はもう一度全課程を入力しないといけないものなのでこれには該当しないと考えていたのですが、話を聞くとどうももろにこれに該当しそうです。
これに該当しない、計算結果(答)のみを確認する機能というのはメモリープラス(M+)、メモリーマイナス(M-)キーを使った通常のメモリー機能ということでしょう。

「それはかなり高度な機能を持った電卓になるんじゃないですか?値段の張るような。」
「えーっと。今カシオのカタログを見てまして、ビジネス用途に対応した本格実務電卓ということで、この検算機能を搭載したものが結構ありまして、実際に私の周りでもこの電卓を試験に使用している人が結構いるのですが。これを知らずに使っている人もかなりいらっしゃると思うのですが、公式的にはこれは使用できないということですか。」
「そういうことです。」
「あのー、電卓で税理士試験とか会計士試験対応ということで売っているものもあると思いますけど」
「ええ、もちろん、この検算機能のないものもありますが。
実務でこういう検算機能のある電卓を使っているという方もいらっしゃると思うのですが、試験用に別のものを用意しないといけないということですか。」
「それはおまかせします。」

「これを実際に試験で使ってしまっている方がいると思うのですが、試験中にチェックして、失格にするということはないですよね?」
「それは、5万人もチェックできませんからね。」
「これは使えるかと聞かれれば、使えませんとお答えするしかないので。」
「なるほど。」

「例えば、日商簿記検定では近年、検算機能を使えることを公式に明記するようになったと聞いていますが、来年の規定で改定されるような可能性はありませんか?」
「今のところ予定はありません。」
「では、そのような要望があるということをお伝えください。」
「わかりました。」

日商簿記検定の近年追加された規定はこちら。

(注)ただし、次のような機能は、プログラム機能に該当しないものとして、試験会場での使用を可とします。・日数計算 ・時間計算 ・換算 ・税計算 ・検算(音の出ないものに限る)

簿記検定試験における持込可能な電卓機能について | 商工会議所の検定試験


というわけで、検算機能について税理士試験の公式の見解は使用できないということでした。ただ上で書いたように、試験中に一人一人電卓をチェックしているようなことはないので、事実上黙認されているような状況。そんな徹底できないようなルールなら、多くの受験生を戸惑わせるような原因になっている規定を廃止すればいいと思うのです。それに検算機能が解禁されたとして、試験で使うような場面はそう多くはなさそうですし、使わなかった場合と比べて手間もそんなに変わりませんから、さほど影響はないと思います。

会計士試験では電卓を結構厳密にチェックしているようで、検算機能は問題ないのですが、過去には間違って没収された人の例もあるみたいです。*6


その他

これとは別に、日数計算機能についても聞いてみましたが、これは特に問題ないそうです。


画面がおおむね水平であることとあるのは、どういったことを想定したものかという問いには、後ろの席から見られることを想定している、極端に大きなものを禁止しているのもこのため、画面は多少の傾斜があるものもあるのでおおむねとしている、とのことでした。可変式のものを立てて使用することは禁止なのかというのは聞き忘れました。主旨から言ってうっかり立ててしまうとまずいことになりそうです。ただ、現実問題として試験時間を目一杯使っても全部解答を埋められないよう試験で、前の人の電卓を注視していたところで合格に影響するような盗み見が可能とも思えませんし、事前に打ち合わせておいて後ろの人に合図を送るということも困難ではありましょう。


ストップウォッチを使って注意された人がいると聞いたので、これについても聞いてみました。時計にストップウォッチ機能がついているものもあるのでストップウォッチを禁止にはしていないが、時計ではない形状のストップウォッチを使用すると監督官の判断で言われることもあるだろうということでした。


それから、試験中にティッシュで鼻をかみたい時は、いちいち試験官を呼ばなくてはいけないのかという問いには、机上にテッシュを置けないので試験官を呼んで鞄から出してくれとのことでした。



以上です。あとは皆様でご判断ください。



相続税法で使うなら、金利の計算に日数計算*7が出来た方が有利になりそうなので、それに加えて税込、税抜キーのあるJS-20DTかなあ。画面がチルトできないのが気になるけど。