私は何を知っているか?

Mark/まあく タイトルはミシェル・ド・モンテーニュ(1533~1592)の言葉 「Que sais-je?(私は何を知っているか?)」

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名古屋駅からSLがあおなみ線を走った。次はあるか。

16日、17日と名古屋の街中を蒸気機関車が走るというイベントがあった。これは、名古屋に観光名所を作り、市の出資する第三セクターあおなみ線の利用者増を狙う、河村たかし名古屋市長の発案で実験走行が行われたもの。JR西日本から借りたC56と客車3両、復路用のディーゼル機関車を回送して行われた。名古屋駅あおなみ線の途中にある名古屋貨物ターミナル駅との間をSL列車は両日3往復した。乗車できたのは、事前の募集に応募し当選した人で、往復はがきでの応募には計1200人の定員の100倍の応募があったそうだ。

私は16日の朝から1便と2便を見にいった。

SLを見に多数の観客が集まることが予想されたことと、線路を見通せる場所はあまり多くないので安全に見られる観覧場所として用意された場所が2カ所あった。途中の跨線橋には警備員、警察官、市職員などが立ち事故が起きないないように警戒していた。お召し列車が走るときもこんな感じだろうか。まず近鉄で2駅めの黄金駅まで移動し歩いた。あおなみ線が見通せる途中の近鉄の駅にもカメラを持った人が多数いた。


▲JR名古屋駅から奥のあおなみ線ホームを見る。SLが入線する20分ほど前で、式典の準備か何かをしているようだ。この場所にも警備員がいた。


黄金跨線橋から名古屋駅のビル群を見る。ここは警察官と警備員がいて人が立ち止まらないようにしていた。


▲九重地区か爛々場所。多くの人が並び、マスコミのヘリも飛ぶ。


▲通常のあおなみ線1000形電車。


▲彼方から汽笛の音が響き、少しおいて白い煙をあげたSLがやってきた。電車と違い遠くからでも列車が近づいてくるのが分かる。汽笛の音を聞き少し心が湧き上がった。

▲すすの匂いを残して汽車は走り去っていった。


▲向野橋では整理券を配り列車通過時に入れる人数を規制していたようだ。


あおなみ線、JR関西線近鉄線と多数の線路が並ぶ。


▲ここはJR東海の名古屋車両所や名古屋工場が見渡せそれなりに見るものはたくさんある。


▲至る所で通行規制が行われる。


▲ささしまライブ地区に移動。こちらには鉄道会社のグッズ販売コーナーやイベントステージなども。



あおなみ線の駅ホーム上では写真撮影が禁止され厳重に警戒していたようだ。



▲立ち並ぶ多数のカメラ。


名古屋駅のビル群と絡めて撮りたかったのだけどこれは完全に構図を失敗した。



列車は本番以外にも、数日前から試運転や、市関係者・マスコミを招待しての運転が行われたようなので、沿線で撮影する機会は結構何度もあったようだ。ネット上にも多数の写真・動画が上がっている。

市長の思いつきのような発言から、ここまで話が進むとは予想を上回る実行力を見せられ感心したところだ。本物の動いている蒸気機関車を見ると、確かにかっこいいしその力強さには感動するし、ファンは集まる。だが、実験走行までこぎつけることはできたが、定期運行が実現するかというとかなり疑問符を伴うだろう。街中で煙の問題や、肝心の汽車や機関士をどう用意するのか答えを見つけるのは簡単ではない。引退して保存されている機関車に再び火を入れて動かせるようにするには技術的にも金銭的にも相当のものが必要で、何年間にも渡る腰を据えた計画なしには不可能だ。国内でSLを走らせている事業者は、国鉄時代の技術者の技を継承し、若手を育成することに多大な投資を行っている。市長の名古屋に珍しい鉄道を集めるという構想に対しJR東海社長の、うちはSLの技術を持ってないしリニア鉄道館で手いっぱいだからという冷ややかな発言も、さすがの堅実経営だと感心。*1SLを定期運行する大井川鉄道の社長も自前で育てた技術者を貸すつもりはないとコメントしているらしい。今回の実験走行に当たっても、参加者からは500円しかとっていないが、寄付金を募るとかオークション形式にするとかしてもよかったし、アンケートでファンの反応を探るとかできたと思うのだがいまいち今後に繋げていこうという感じがしない。今回は名古屋市が4000万円出したようだが、今後収益事業として行うための計画や、この分野の先駆者に意見を仰ぐとかなしでは、構想も今回限りとなってしまうのではないかと思う。

*1:"JR東海の山田佳臣社長は十四日の定例会見で、名古屋市あおなみ線蒸気機関車(SL)を走らせることに、懸念材料として「煙の問題がある」と指摘した。山田社長は、現在はJR東海はSLの技術を継承していないとして「協力を申し込まれても提供できる人材も物もない」と説明。(中略)「うちはリニア・鉄道館があるので、それで精いっぱい。そちらに専念させていただく」"中日新聞:名古屋のSL実験走行 観覧場所を設置:愛知(CHUNICHI Web)
JR東海は中部圏を代表する企業だが、経営再建中の御園座(名古屋で唯一の歌舞伎舞台のある劇場)に出資することも、前から付き合いのある企業がやればいいという冷ややかぶり。