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私は何を知っているか?

Mark/まあく タイトルはミシェル・ド・モンテーニュ(1533~1592)の言葉 「Que sais-je?(私は何を知っているか?)」

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全国商工会議所観光振興大会に行ってきた

観光・地域研究

商工会議所の観光振興大会に参加させてもらった。神戸市がユネスコからデザイン都市に認定されたことを受けて、デザインを観光にも取り入れていこうという大まかな流れで展開されたように思う。

正直、長時間で退屈なところもあったが、全国から産業界の人間が集まった会合がこのように運営されるのかということも知れて勉強になったし、講演の手法も含めて私としてはトータルではそこそこ収穫があった。

配布資料には面白いものもあって、プログラムには、全国の観光振興に関する取り組み調査結果なんかが載っていたので、良い資料を入手できてよかった。

他には、神戸市のキャンペーンガールがアシスタントで登場したり、ロビーでは神戸土産の販売をやっていたり、次回開催地の青森がりんごを配っていたり、全国の観光パンフレットが置かれていたり、さながら展示会の雰囲気だったことを記しておく。

タイトル
全国商工会議所観光振興大会2009 in 神戸
日時
11月20日(金)〜22日(日)
会場
神戸ポートピアホテルほか
主催
日本商工会議所神戸商工会議所


観光庁からの配布冊子で「経営によく効く『休暇』」(以下にweb版をリンク)があった。日本の観光産業育成、地域振興のためにも、従業員の休暇取得を企業に促すという施策に基づくものらしい。こないだ英語のテキストで、労働者の休暇取得と生産性に関するエッセイを読んだのを思い出した。へー、観光庁がここまでやってんだ。基本的には賛成だけど厚労省との分担、あるいは連携はちゃんとやってるのかな?



▲Welcome to Kobe

▲参加者は全国の商工会議所の会員。

1日目 本大会 講演抄録

来賓挨拶

観光庁長官(代理))
兵庫県知事)
神戸市長

日商報告「商工会議所の観光事業の取組みと今後の方向性」

須田 寛(日本商工会議所観光専門委員会委員長)

全国515商工会議所のうち340が観光を事業の方針に据え取り組んでいる。特にインバウンドの重点施策としてはMICE(Meeting,Incentive,Convention,Exhibition)を推進する。法律に基づいて公益的な役割を果たし、純粋な民間団体でもある商工会議所は、官民連携の橋渡し役として適任である。

あ、JR東海の元社長だ。この人は産業観光を日本で提唱した人でもある。


▲商工会議所の観光事業の取組みと今後の方向性

「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」表彰式・事例発表

観光振興大賞:豊後高田商工会議所(大分)←昭和の店舗を活用した「昭和の町」で人気に
観光振興賞:武雄商工会議所(佐賀)←アクセスの良さとゴルフ場を利用して韓国客をターゲットにした活動が成功
観光振興賞:境港商工会議所鳥取)←水木しげる・妖怪にフィーチャーした街づくりで話題に

受賞団体のプレゼンもあったがなかなかどこも引き付けるプレゼンだったと思う。いずれも町全体で舵を切るには結構勇気のいる大胆な取組みだと思うがリーダーシップを取れる人がいたんだろうなと想像する。

基調講演
テーマ
デザイン力による《地域“イキイキ化”戦略》
講師
西川 りゅうじん(マーケティングコンサルタント

100年に一度の経済危機、大変だ大変だというが本当にそんなに大変なのだろうか。明治維新、戦中戦後の混乱期、震災後と比べてみてどうか。「大変」というのは文字通り「大きく変わる」ことだ。

CHANGEという言葉の、Gという文字はジャイアンツのGだが、良く見るとこの中にタイガースのTが隠れている。TをとってしまうとCHANGEはCHANCEになる。Tとは何か。これはTABOO。

デザインというと、図案とか意匠とかと理解されがちだが、デザインという言葉の語源はラテン語designareで“計画を記号に表す”という意味である。絵図ばかりではない。ユニバーサルデザインが例。神戸ではKOBE DESIGNER'S NETというサイトを立ち上げた。デザイナーを探す企業と、活躍の場を探すデザイナーのマッチングサイト。KOBEショップデザイン賞というのもやった。優れたデザインの店舗を顕彰して良いデザインのものを増やそうという試み。

「住んでよし、訪れてよしの地域づくり」これは故・木村尚三郎先生の言葉で観光庁のキャッチフレーズになっている。地域づくりは人づくり。



観光・地域活性化のキーワードを「あいうえお」にした。(下記画像参照)「あ」は、あそびごころ。

秋田の羽後のJAが米のパッケージのデザインを有名なイラストレーターに書いてもらった。美少女のイラストで萌え米、と言われて一月で2年分の米が売れた。東京からも買いに来る人がいる。

先ほど、境港の取組みが表彰されたが、最初に妖怪のまちづくりを決断したのはすごいこと。なかなかできない。はじめは総論賛成、各論反対みたいなところもあったらしい。

世界遺産になって世界から多くの人が訪れるようになった高山市の観光サイトは10ヶ国語対応だ。外国語に対応したから世界の人が来るようになったとも言えるし、世界の人が来るようになったから外国語に対応したという、鶏が先か卵が先かみたいなところはあるが大事なこと。

叶姉妹の写真を出して聴衆をいじりつつ)「叶う」、これが言いたかった。できない理由ばかり言ってもしょうがない。できない人に限ってできない理由を探してくるのがうまい。夢を持って叶えるために挑戦すること。

皆さん、地域のリーダーとなってがんばりましょう!!

※このテキストは私が会場でとったメモを基に新たに書き起こしています。抜粋箇所の選択は私の判断により、論旨を変えない程度に再構成している箇所があります。そのため一部内容に誤りを含む可能性があります。掲載に問題がありましたら、お手数ですがご連絡ください。


当初ここは安藤忠雄の講演がある予定だったのだが都合がつかなくて講演者変更になった。楽しみにしていたので会場でプログラムを見てがっかりしたのだが、これはこれでなかなか面白く、プレゼンの技法やこういう話の展開があるのかと大いに勉強になった。こういう人が、こういう職業人がいるのかと知れただけでも価値があった。

愛・地球博モリゾーキッコロ、平城遷都記念事業せんとくんのデザイン・ネーミングの選定にも携わり、「アッシー」「メッシー」「ジモティ」等の造語でも知られた人とのこと。正直今まで知らなかった私があまりに不勉強だと言うべきか。

プレゼンの印象としてはいかにもコンサル屋、広告屋と言った感じで言葉遊びがうまい。造語とシャレの連発。聴衆の反応に合わせて飽きさせないような話ができる。ただ非常にキャッチーではあるのだが、講演ではどこが枕の部分でどこが重要な論旨の部分なのか、どこをメモしたらいいのか、がわかりにくくもある。歴史や、偉人の発言や、古代の詩や、故事成語を引っ張ってきていかにも聴衆に「そうか」とわかった気にさせておいて、その実、自身の言葉で語っているところはすごく少ない気がする。配布された資料を見たら、過去の雑誌記事ではCHANGEをCHALLENGEにしなければ、なんて言ってる訳でその部分は実はどうでもいいことで、ただそれを本質(本当に言いたいこと)とこじつけるのがうまいのだ。

と、こんな風に書いていくと批判してるみたいだが決して馬鹿にしてるわけではないので誤解の無いよう。氏が流行を捉えることができるのは、恐らく下地に教養もあって適切な場所でそれを引っ張ってこれること、常にアンテナを張って情報収集を怠らないこと、その分野についての多数の資料を読み込んでいるだろうこと、物事を分析して重要なものを見抜くセンスがあるということなのだろう。キャラクターの選定にしても自ら作ったわけでなくて、候補の中から選んだだけな訳だが、ちゃんと何がウケルかということを見抜いている訳で、それがすごい、と素直に尊敬できるところだ。いやあ、べた褒め。

そして「あそび心」というのは大事なことかもしれないなぁとしみじみ思った。周りの人がついてこないと意味ないもんなぁ。


西川りゅうじん氏のプレゼン

パネルディスカッション
テーマ
五感を満足させる観光
コーディネーター
丁野 朗(社団法人日本観光協会常務理事)
パネリスト
玉岡 かおる(作家・コメンテーター)
山口 浩(神戸北野ホテル総支配人・総料理長
岩田 弘三(株式会社ロック・フィールド 代表取締役社長)

玉岡「開国から140年。神戸には日本の中で初めてのものがたくさん入ってきた。洋食、洋服、コーヒー、パン、ジャズ。それが神戸の魅力になった。」
山口「神戸には海と山という、自然があり、アルチザン(職人)があった。それらが神戸ブランドを作った。」「『いつもおいしいね』と言ってもらうためには本当は時代に合わせ常に変化している。」
岩田「神戸市の再開発計画で、居留地からウォーターフロント部への見通しをよくし、一体化する街へとしてもらうよう働きかけをしている。2号線が間を分断しているので地下化したい。新港地区にある歴史的な建物生糸検査所が土地資産が下がって安くなったので神戸市に買い取ってもらった。ここはデザインクリエイティブセンターになる予定。神戸税関と合わせて近代遺産。水上警察署がじゃまなので撤去してもらいたいと思っていたところ、都合よく耐震構造が問題と言うことが分かりポートアイランドに移転が決定した。」
岩田「南京街にある店舗を安藤忠雄佐藤卓のコラボレーションでリニュアールしている。これからは食文化のデザインをしたい。地産地消コロッケやサラダ。サラダは安全、安心、健康。サラダを神戸らしさや産業にしていく。」
山口「昔はレストランをやっていて本場のフランス産のものを求められた。今はフードマイレージの低い地元の食材を生かした料理が流れ。神戸AOCを作りたい。」
玉岡「生活観のない史跡をみても面白くない。異人館に行っても建物はあるが、暖炉も使われていない。単なるsightseeingではダメ。」「自然のものを取り入れること。ライトアップされた夜景もいいが、夕陽のイルミネーションを宣伝する。天の運行を利用したものなので無料で、エコ。」


※このテキストは私が会場でとったメモを基に新たに書き起こしています。抜粋箇所の選択は私の判断により、論旨を変えない程度に再構成している箇所があります。そのため一部内容に誤りを含む可能性があります。掲載に問題がありましたら、お手数ですがご連絡ください。


岩田さんはデリカテッセンの店を日本に輸入した人。「RF1」や「神戸コロッケ」等を展開。ちなみにロック・フィールドという会社名は、ブリヂストンが創業者の名前を直訳したように、岩・田を英語にしたそう。具体的な進行中の計画が出てきて驚いた。氏は神戸市政策提言会議の委員等も務め行政に直接関わっているようだ。



▲パネルディスカッションの様子


30分程度押しての進行だったこともあるが、会場はあんまり真剣に聞く態度ではなかったような印象。終盤の会場からの拍手、あれは「早く終われ」の催促だろう。この後交流会なんだから別にケツカッチンなわけでもないのに、辛抱の足らない聴衆だなぁと思ったのはまた別の話。

神戸アピール採択




▲会場のポートピアホールはホテル付属の立派な施設、キャパは1702名。


2日目 分科会 講演抄録

分科会2 パネルディスカッション
テーマ
生活文化のブラッシュアップと情報発信
コーディネーター
栗木 契(神戸大学大学院経営学研究科 准教授)
パネリスト
喜多 俊之(プロダクトデザイナー
矢崎 和彦(株式会社フェリシモ 代表取締役
高崎 邦子(株式会社JTB西日本 広報室長)

栗木「昨日の本大会では『神戸アピール』が採択された。ここでリ・デザインと言っていることに注目したい。リフレーミングと言うことが重要だ。T・レビットがマーケティングのマイオピアということを言っている。鉄道会社が自らの事業を「運輸事業」ではなく「鉄道事業」と定義してしまうこと。「需要が無い、衰退」だと思えることでも物の見方次第で「まだ伸びる」に変えることができる。鉄道会社が輸送だけでなく、エキナカや不動産開発に乗り出すこと。ユニクロヒートテックで大ヒットを収めたが、新しい発明をした訳ではない。ヒートテック製品はもともともともとあったがゴルフウェアなどの下着で品質もあまりよくなかった。ユニクロが改良して成功した。」「最初にパネリストの方に自己紹介を兼ねて神戸について話してもらう。」
喜多「シンガポールから帰ってきたばかり。」「上海では今企業はセンスを競っている。日本の明治や大正に起きていたこと。」「日本料理、茶、日本のライフスタイルに世界が注目している。」
矢崎「フェリシモはダイレクトマーケティングの会社。オリジナル商品のカタログ通販で売上構成はファッション75%、雑貨25%。当社は震災の後9月に神戸に移転してきた。もともと計画があり震災が起きて大丈夫かと社員は不安がったが、神戸の魅力を訴えた。神戸は自然と文化の融合した都市、国際的な未来都市である。」
高崎「JTBは旅行会社だが、単なる手配だけではなく、これからは交流を事業領域と捉えている。」「あなたはどこから来たのか聞くと他の都市の人は都道府県単位で答えるが、兵庫県は神戸とか姫路とか。市町村単位でのブランド力が高い。」
栗木「神戸のコンパクトさ、小さな町というのは魅力であり、欠点。車に乗っているとすぐに通り過ぎてしまう。」
矢崎「神戸には人が来たときに連れて行く名所があまりない。ところが、ベーカリーでパンを買って六甲山にドライブに行き、テニスなんかに行ったりすると『よい街ね』とうらやましがられる。」
高崎「オーストラリアでは、観光宣伝をするにあたってオペラハウスとハーバーブリッジの写真を大々的に使って『これぞオーストリア』という広告戦略を取って成功した。他の観光地からは疑問の声もあったがまずイメージを定着させて、それから他の観光地へとの戦略。」
栗木「神戸には城が無い。歴史的な古い建造物が無い。異人館なども私の祖父などは実際に住んでいたと聞いているので観光地という認識はなかった。近代以降の先進的なスタイルが入ってきたということで日本の中ではイメージが良いが、海外の人にとって魅力的かと言ったら疑問だ。逆に西洋のものを日本風にアレンジして取り入れたものが評価される。例えば、フィナンシェというお菓子が好評だった。」
喜多「海外から来た人に日本が絶賛されることは清潔で、新幹線が街のまん前に止まること、正確さ。清潔といってもごみが落ちていないことで、都市の景観は良くない。看板や電線が雑然としていて、逆に芸術的だといって写真に撮ったりする。街並みにはハーモニーがない。都市計画をもう一度耕しなおしてはどうか。」
栗木「外国と日本とでは時間の感覚の差もある。欧米では鉄道が10分くらいの誤差で動くのは当たり前。日本は変な国だと驚かれる。」
喜多「日本が国際的に戦えるものは何か、戦略を持つことが大事。日本人が考えもしなかった意外な日本のものが喜ばれることがあるが、コストが高くつき製品化できないこともある。アートとデザインは異なる。」
栗木「以前シンガポールの歴史を聞いて意外だった。英国からの独立をするとき、マレーシアから引取りを拒否されたらしい。マレーシアはイスラム単一民族国家。シンガポールはアジアの多国籍国家で、資源も無いこと等問題だらけだった。しかし、基本的に個人に土地所有を認めないことで都市計画を行いやすくしたり、世界の金融センターとしての地位を築いた。短所を長所に変えた。」


※このテキストは私が会場でとったメモを基に新たに書き起こしています。抜粋箇所の選択は私の判断により、論旨を変えない程度に再構成している箇所があります。そのため一部内容に誤りを含む可能性があります。掲載に問題がありましたら、お手数ですがご連絡ください。

上の書き起こしは相当部分的に抜き出しているが、文脈があっての発言なので不自然に見えるのは切り取り方が悪いせい。聞き漏らした部分もあると思うので不完全なものであるのをご了承頂きたい。

個人的にはいろいろと疑問のある発言もあって、神戸など観光都市として上から数えたほうが早いと思うのだが、観光資源が無いといってしまうと他の都市はどうなるのかという気がしないでもない。これぞ神戸、This is Kobe.として売り出せるものに何を思い浮かべるのか、質問すれば良かったが考えをまとめているうちに時間切れになってしまった。


▲パネルディスカッションの様子

おまけ

最後に夜景の写真でもどうぞ。