私は何を知っているか?

Mark/まあく タイトルはミシェル・ド・モンテーニュ(1533~1592)の言葉 「Que sais-je?(私は何を知っているか?)」

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私のしごと館と国会図書館を見学する

学研都市にある、私のしごと館国立国会図書館関西館に行ってきた。両館の内容に興味があったのも事実だが、国の作った施設がどれほどのものか見たい気持ちもあった。以下見学したリポートを送る。

関西文化学術研究都市(学研都市)は、大阪府京都府奈良県にまたがる京阪奈丘陵に造られた都市。地区は精華町木津川市など3府県8市町にまたがり、国の計画で企業や国の研究所や住宅が立地された。

近鉄京都線で京都駅から30分ほど、新祝園駅で降りる。駅前の地図を見ると大した距離はなさそうに見える*1のだが歩くと少しあるのでバスに7,8分乗る。2つの館は近接した場所にある。

バスを降りる。のどかだなー。

私のしごと館

私のしごと館は2年ほど前に随分マスコミでやり玉に上がったように思う。おさらいしておくと、独立行政法人雇用・能力開発機構が設置した職業体験施設で、運営には雇用保険料が投入されている。2003年にオープンしたまだ新しい施設だが、2010年の廃止、売却が既に閣議決定されているとのことで、興味のある方はお早めにどうぞ。

中に入ってみて感じるのはそれはまず、でかい。広い。夏休みが終わって直後の平日ということもあってか閑散とした感じが少し寂しい。ガラス張りでピカピカの建物は国際会議場かリゾートホテルと言っても遜色ない。空調やメンテナンス費用も馬鹿にならないだろうなーなどと思う。




館内は5つのゾーンで構成される。この施設を機能面から見てみると、最も基本的な部分として入場料を払って入る展示体験施設がある。それ以外に別途300〜1000円程度の参加費を払って参加する体験メニューがかなり豊富なことも特徴だ。通常のメニューだけでも80近く、伝統工芸品を作ったり、デザイン、美容や食品製造等、常時全てのメニューをやっているわけではないが、基本的に1日3回体験の時間がある。この日やっていたメニューの中にそれほど興味を引くものがなかったので参加しなかったが証券業なんて面白そうだ。そしてキャリア教育を行う部分。職業適性診断システムやデータベースがあって、データベースは入館料を払わなくても利用できるようだ。

プロローグガイダンス
ZONE I しごと探索ゾーン
   しごと探索ゾーンはくらしを支える多種多様な職業(技術・技能)や仕事の組織プレーを「体感」する職業世界との出会いの場です。
ZONE II しごと体験ゾーン
   しごと体験ゾーンは「モノづくり」「サービス」といった様々な仕事の世界を「体験」するゾーンです。
ZONE III しごと歴史・未来ゾーン
   しごと歴史・未来ゾーンはくらしを支えてきた人々の働き方がどのように変化したか、また、未来の仕事がどのようであるかを「考察」するゾーンです。
ZONE IV じぶん発見ゾーン
   じぶん発見ゾーンは、人々の仕事を通じて生き方を知り、自分自身の興味を知り、自分自身の生き方を「発見」するきっかけとなるゾーンです。
ZONE V しごと情報ゾーン
   様々な仕事の情報を職業データベースから自由に検索して動画などを見ることができます。
企画展示室などの紹介
相楽木綿伝承館

http://www.shigotokan.jp/watashi/guide.html




大工の体験では本職の宮大工の人が先生をやってくれるそう。



それにしても豪華だなぁ。新しいだけあってディスプレイにはかなり凝っている。ところどころに立っているアテンダントのお姉さん(おばさまの方が多かった気もするが)も親切に声をかけてくれる。よかったらこちら体験していきませんか、てな具合に。


鉄道運転シミュレータなんてものがあったら当然やってみる。運転機器類がリアルに作ってあるのを見てもしかして期待できるかもと思ってやってみる。近鉄の車両がモデルなのかな。しかしやってみてちょっとがっかり。シナリオが1本だけしかなく、発車→踏切支障で非常停止→指令に連絡→運転再開→停車で終了。お姉さんが横でずっと説明してくれるのだが、発車してと言われてまず知らせ灯がどこにあるのかわからなくて焦る。後で写真見たら支援モニタには戸閉状態が出ているみたいだったが知らせ灯はあったのかな?次に、信号も見えないうちから非常停止してと言われるもんだから訝しくも非常制動かけたら手前過ぎるので進むように言われた。踏切が見える位置で止まらないとシナリオが先に進まないらしい。そして無線で連絡するが、車掌の放送と指令の声と運手士役の声が次々に聞こえてきて若干焦る。最後は思ったよりホームが短くて過走してしまった。うーん、△。




クレーンの操縦体験。



テレビスタジオ体験。スタッフにお話を聞くと元NHKで働いていた方のよう。話したくてたまらないという感じでいろいろ説明してくれた。


リカちゃん人形を作る体験。シュール。


この施設に来るのはどういった人が多いのか体験施設のスタッフにお話を聞いてみた。中心は小学校、中学校の団体利用で関西一円、修学旅行で京都と奈良に来た間に寄っていく形で全国各地からの来訪があるそう。なんだ、意外に利用されてんじゃん。この日もどこかの中学校が来ていたようだが、団体はガイダンスルームやセミナールームも利用できる。一応一番の目的は果たしているみたいだ。数はわからないが。

勝手に提案

しかし赤字垂れ流しの箱物行政ということで評判が悪く、今後の存亡が心配だが、無くしてしまうのはどう考えても勿体無い。展示はボリュームたっぷりでよくできていると感じたし、体験メニューも面白いと思う。中学生くらいが中心利用層だろうがもっと広い世代に利用の拡大を狙うべきだろう。京友禅だとか蒔絵だとかの伝統工芸品なんかは大人(中高年)に人気があるだろうから文化教室のノリで呼び込めばいい。自分で作ったり、持って帰れる「体験」は人気があってバス旅行にも組み込まれているからその筋で売る。大阪や京都の博物館、科学館との連携。関西圏の博物館のリストにも上がっていないことが多い、というかどういう施設なのかあまり知られていないと思うのでもっとPRする。建物がだだっ広く贅沢な使い方をしているとは思ったので空きスペースのもっと有効的な使い方を考える余地はありそうだ。

子ども向けの仕事体験施設キッザニアというのが人気だ。行った事ないので適当なことは言えないが、向こうは子どもだけしか入れないようにして徹底した世界観を作っていると聞いた。リアルに作られたごっこ遊びとかテーマパークのイメージなのではないだろうか。企業スポンサーを付けてそこの監修で実際の道具を子供向けにスケールダウンして用意しているらしい。わたしの仕事館でもスポンサーを付けてミニ企業博物館のようにしたり、実際に働いてる人に来てもらったり、定期的にセミナーを開いたり。真剣に就職を考えている高校生、大学生向けのイベントを開催するのはどうか。若者に職業情報を提供するという館の目的からしたら本来最も力を入れるべきところかもしれない。でもそういう用途になると立地が問題なのかなぁ。

しごとライブラリー(全4冊)―興味ある仕事を探してみよう


国立国会図書館関西館

続いて国会図書館関西館にやってきた。こちらも外壁をガラスで覆った造りだが、周囲に緑が敷き詰められていてバイオ関係の工場のようでもあり、また石のパネルを敷き詰めた直線的で端正な佇まいはめちゃくちゃカッコイイ。建物の主要部分は地下に構成されているため、敷地に入って視界の開けた空間にポツーンと立ったときの静けさと、この地下には膨大な資料が眠っているのか・・・という想像力が組み合わさると興奮してきてしまう。ヤバイ。



中は撮影が禁止されているのでここで見せられるのは上の外観写真のみ。実は後でわかるのだが事前に申請すれば大体許可下りるみたい。くそー、悔しい。

正面の入り口から入ると1階部分は守衛さんがいるだけのシンプルな作り。大階段を降りていくと総合案内と入場ゲートがある。なんだか総理官邸の組閣の記念撮影する階段みたいだなーと思った。まず名前や住所を入力し入館カードを作る。荷物などはロッカーに預ける。そして入場、その前に予約不要のガイドツアーがあるのでそれを申し込んだ。係りの人の案内で通常は入れない書庫を見学させてもらえる。

国立国会図書館は国内で刊行される全ての出版物を収蔵しているという巨大な図書館。東京の本館に続き建設された関西館には600万冊の収蔵能力があり、まだ余裕があるが将来の増築も準備されている。閲覧室は地下1階にあるがここにあるのは新聞、雑誌、各分野の索引的な本や便覧があるのみ。(それでもかなりの広さだが)大半の本は地下2階から地下4階の閉架書庫に収容されていて、利用者がOPACで検索して請求すると運ばれてくる。

下の階に降り、係りの人がIDでロックを開け書庫に入る。照明は抑え目で、ひんやりと涼しい。書庫内は温度22度、湿度55パーセントの本の保存に最適な状態に保たれている。物がこすれるような静かな機械音。請求された本の入った箱を積んだ台車が頭上のレールの上を走っているのだ。動いている様子は
こちらで見ることができる。行った時間が閉館に近かったためあまり活発に動いていないとのことだった。忙しい時だと自動書庫から出てきた本を取り出して発送する係りの人もきっと大変だろうなあ。

国会図書館の本は、受け入れ年度と大きさで棚を決め、後は受け入れ順に番号を振って並べていくらしい。だから続きものの本の間に全く別の本が挟まっていたりもする。分類記号は別に管理していてデータベースで紐付けしているのかな。関西館はアジア関係資料、科学技術関係資料、博士論文の収集を主にしていて東京本館に比べると堅い内容が多いんだそう。

時間がなくなってしまい本はあまり見ることができなくなってしまったが面白いものが見れてよかった。

*1:都市部とは土地の使い方が違って縮尺が小さいのだ。