私は何を知っているか?

Mark/まあく タイトルはミシェル・ド・モンテーニュ(1533~1592)の言葉 「Que sais-je?(私は何を知っているか?)」

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ドラッグについて学ぶ一冊(追記)

よりみちパン!セ

理論社の「よりみちパン!セ」は「中学生以上すべての人たちへ。」をテーマにした学校や家庭では学べないことを教えてくれる人生の教養書シリーズ。
http://www.rironsha.co.jp/special/series/index.html

アマゾンのレビューでも多くの人が大人が読んでも十分に楽しめると書いている。いやむしろ大人にこそ真剣に読んで欲しい良書も多い。うちの大学図書館にも全巻セットで入れるべきだ。


このシリーズは祖父江慎の装丁も1冊ごとに凝っていて面白い。

私のおすすめ、読みたい本はこの辺

ドラッグの功罪を知る

ドラッグについて包括的に分かりやすく書いた本はなかなかない。あなたがもしドラッグに全く興味がなくて未来永劫使うことは絶対にないと言い切れるならドラッグについて知る必要はないかもしれない。しかしドラッグとは何であるかを知りもしないで、「ダメ、ゼッタイ」というコピーだけをやみくもに信じ、危ないものだという漠然としたイメージを持っている態度は問題であると思う。ドラッグの良い面(ドラッグを良いと言うのは語弊があるかもしれないが)も悪い面も含めて知りたい。本書『こどものためのドラッグ大全』はそんなときに「きっと役立つ」一冊。

ドラッグにはどんな種類があるのか、その効能は、作用のメカニズムは、リスクは。この本には書いてある。危険性をきちんと理解せず、自分とは関係ないものだと切り捨ててしまっては、もしそれが危ないものじゃないふりをして近づいてきたときに断ることができないかもしれない。またメディアで芸能人のドラッグ使用が騒がれたり、ドラマ作品なんかでも目にしたりする昨今、興味を持ったときに正しい知識を仕入れることができないでいれば、ダイエットに効くとかセックスの快感が高まるとか一部の情報だけを聞いて危うげに「とりあえずやってみたい」と思うのはある種自然なことではないか。しかも例えば覚せい剤では最初は負の側面を感じず、頭が冴えてバリバリ何でもできるような気がする。なんだ意外と大丈夫じゃん。←これが落とし穴。深みにはまって被害妄想や幻覚を見るようになる頃には禁断症状が出て止められない。

そもそもドラッグと一重に言っても実にたくさんの種類がある。大麻(マリファナ、ハシシ)、覚せい剤ヒロポン)、コカイン、コデイン(咳止め薬)、MDMA(エクスタシー)、LSD、アヘン→モルヒネ→ヘロイン、メスカリン、2Cシリーズ(脱法ドラッグ)、マジックマッシュルーム(シロシビン、シロシン)、シンナー・・・あなたはこれらの違いがわかるだろうか。あるいは酒(アルコール)、タバコ、コーヒー(カフェイン)、精神科で処方される睡眠薬リタリンベンゾジアゼピン系の抗不安薬マイナートランキライザー)。これらも広義のドラッグだ。酒やコーヒーは現代の日本では堂々と嗜まれているものだが世界の歴史を見れば規制されていた時代もあった。合法ではあっても依存症と無縁ではない。医師のコントロール下で使えば治療に有効な物にもなるし(覚せい剤やLSDの成分でさえ!*1)、乱用すれば心身に異常を来たす。ドラッグは毒にも薬にもなる。

管轄する法律も違う。大麻取締法覚せい剤取締法。麻薬及び向精神薬取締法。あへん法。まぁ法律なんてものはその国の時代と政治に翻弄されて作られるものだから絶対的な価値観ではない。

私はタバコなんて有害なものにお金(税金)を払って吸う人の気が知れないのだけど、酒は常用しているし、デパスも飲んでいる。(これらを併用すると効能が強まって危険なんだそうだ。あんまり実感はないけど。)酒に飲まれたり欲望に溺れたりしないよう、強い精神を持って自分をコントロールする術を持たないといけないなぁ。

ドラッグのやめ方

第3章ではドラッグのやめ方を扱っている。もしドラッグに手を出してしまってからやめたいと思い、自分の意思でやめる事ができたら幸いだ。体質的なものもあるようだが多くが離脱症状に苦しみ簡単には絶つことができない。理解のある医療機関や心理カウンセラーを見つけることができればいいが、おそらく日本ではまだ少なく難しい。DARCやNA(Narcotic Anonymous)、AA(Alcoholic Anonymous)等の自助グループが紹介されていることが多いが、これらは経験者や支援者が自主的に集まって運営している。人によっては方針や仲間との考えが合わなくて馴染めなかったという人もいるらしい。もちろん同じ境遇の人たちの話を聞いて情報を得るのには有用だろう。教師や友達や家族に相談してもサポートが得られず、警察に通報されてしまうということもある。警察に捕まって刑務所に入ればそれは強制的にクスリから遠ざかることができるのだけど一時的なものにしかならないことが多いようだ。日本の刑務所では徹底的に鬱屈した生活を強いられる。刑務所内での医療は十分に受けられないところが多い。ひたすら耐えながら恨みを重ね出所したらまた戻ってしまうのでは意味がない。

薬物依存者に必要なのは矯正教育と精神的な治療だ。薬物依存者の治療にあたる専門の機関を作る必要があるのではないかと思う。アルコール依存症、ニコチン依存症も一緒にやればいい。

*1:以下の薬物は薬物乱用として問題にされるが、同時に医療に応用されているものもある。日本で麻薬などに指定されている薬物